【観光業界リーダー年頭所感】一般社団法人奈良県旅行業協会 会長 中島昭人 氏
2025年の新春を迎え、謹んで新年のごあいさつを申しあげます。
思い返してみますと、2024年は1月1日に発生した能登半島地震、翌日2日の日航機と海保機の衝突・炎上と、この1年は何が起こっても不思議ではないような不穏な幕開けでありました。その後も、追い打ちをかけるような能登半島方面への豪雨災害や、全国至る所で地震が発生し、「南海トラフ地震臨時情報」までが発表されるまでに至りました。政治の世界においても、国民の理解を到底得ることのできない裏金疑惑そして与党の過半数割れと不安定な政権下で2025年の経済にどのような影響を及ぼすのか心配されるところであります。
3年間に及んだコロナ禍以降、人々の旅行意識・旅行スタイルも一変し、働き方改革や物価高と値上げにより、私たちANTA会員が主力としてきた団体旅行は消滅や減少の一歩をたどり、大きく目減りしました。
しかし、人口減少で日本の市場パイが小さくなる一方で、訪日外国人観光客の急増によりインバウンド市場はますます成長を遂げています。
そして、様々な問題点は露呈されながらも、いよいよ今年4月13日に大阪・関西万博が開幕となります。おそらく多くの訪日外国人観光客が万博を訪れ、特に関西方面・各地域への誘客促進、地域への経済波及効果を拡大させるビッグチャンスとなることには間違いありません。
ビジネスの未来を左右する可能性のあるインバウンド市場、裾野の限りなく広い観光業の中で、私たちは旅行者のために交通機関や宿泊手配を行うことを生業としてきた旅行業の殻から飛び出し、地域の観光コーディネーター、地方創生の仕掛け人としてのビジネスモデルを確立する方向へ迷うことなく目指していかなければなりません。
さて、そのように私たちの経営存続をかけ、ANTA会員の持続可能な未来を見いだしていくべき中で、奈良県旅行業協会は、来たる2026年の第20回・国内観光活性化フォーラムを奈良の地で開催させていただきます。第20回という周年にあたる記念すべきフォーラムを担わせていただくことに感謝し、会員一同が誇りに感じ、現在、企画・立案・関係各位との調整などで、知恵を出し合い、そして仕事の合間を縫って足を運んでくれています。改めて当会員皆様の旅行業で培ったおもてなし精神とネットワーク、実行力に驚かされ、頭の下がる思いです。
私たちは、このたびの国内観光活性化フォーラムin奈良を、単にイベント事業を奈良県で開催するという気持ちでは臨んでおりません。日本の始まりの地を、世界に伝え未来に繋ぐプロジェクト“魅せる奈良”のスタート台に立つんだという強い思いで臨んでおります。
裾野が広い観光産業は、地方創生の原動力であり、その活性化は地域と地元中小企業に直結します。今回のフォーラム開催を通じて、産官学のネットワークを構築し、より連携を密にして伝統文化や産業、食や自然・歴史などの観光資源を深掘りし、その中で再発見した新たな魅力に多くの事業者がビジネスモデルを見出し、発信していくプロジェクトとして取り組んでいきたいと考えております。
国内観光を活性化する本当の意義、フォーラムの原点に立ち返り、全国のANTA会員が集まる全国大会でもある以上、会員自身が希望と勇気をもらい力を付けて帰っていただけるようなフォーラム開催に向け、この一年、近畿地区の皆様のご理解とお力添えをいただきながら、奈良県旅行業協会は心ひとつに総力を結集してまいりたいと思います。
最後になりましたが、皆様のご健康とご多幸、そして変化を遂げ新しい始まりの巳年になることを切にお祈り申しあげ、新年のごあさいつとさせていただきます。
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