【観光業界リーダー年頭所感】北海道旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 綿貫泰之 氏
年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は「安全」について改めて思いを強くする1年になりました。能登半島地震、羽田空港での航空機衝突事故から1年が始まり、鉄道では輪軸組立作業時の改ざんや東北新幹線走行中の列車分離など、安全に関わる事象が多く発生しました。当社でも11月に函館線森・石倉間にて貨物列車の脱線事故が発生しました。改めて「安全」に終わりはないこと、「安全」が当社事業の基盤であり、お客様に「安心」してご利用いただくべく全社一丸となって「安全」を追求、徹底して取り組むことをお誓いする次第です。
一方で、新たな中期計画をスタートさせ、「挑戦の3年」と位置付けた重要な年でもありました。コロナ禍からご利用が急回復する中、千歳線では快速エアポートの日中時間帯毎時6本化を実現させたことでインバウンド需要をしっかりと取り込むことができました。また、開発事業においても不動産、ホテル、物販・飲食の各事業の拡大に向けた取り組みに加え、鉄道コンテンツを活用した事業展開等、新たな事業領域への挑戦を始めた1年になりました。
本年、2025(令和7)年は中期計画2年目の年に入ります。中期計画は「挑戦の3年」と位置づけていますが、その中で「成長」を感じる1年にしたいと考えています。
そのためにもまず「安全」です。「安全」は事業を「成長」させるための基盤です。「安全」であり続けることが当社への評価、お客様の「安心」に繋がることを肝に銘じ、「あくなき安全の追求」を続けてまいります。
鉄道事業では、新幹線札幌延伸開業時期が不透明な状況ではありますが大きな期待がかかる事業であることは変わりありません。当社として新幹線札幌駅工事を引き続き推進します。在来線では、千歳線の更なる輸送力強化策として新型車両733系4000代を追加投入するほか、登別駅では年内の使用開始に向けてバリアフリー化及び新駅舎工事を進めているところであり、登別観光の新たな玄関口としてたくさんのお客様が訪れることを期待しています。
開発事業では、札幌駅周辺開発を引き続き推進することはもちろん、不動産事業では北3西12地区の分譲マンションの入居開始など、これまでに種を蒔いてきた事業の成果が多く発現します。ホテル事業では昨年千歳市内にオープンしたJRモバイルイン2号店は非常に好調であり、引き続き北海道内での出店を推進します。また、新規事業のパイロット展開を進め、新たな事業領域への挑戦についても加速させます。
持続可能な交通体系の構築については、2026(令和8)年度末までに、線区ごとに事業の抜本的改善方策を確実に取りまとめます。維持する仕組みの構築に向けて課題解決の最後の機会という認識のもと、収支改善に向けた実行計画を強力に推進します。
そしてこれらの事業を推進していくために重要なのが「人材の確保と育成」です。当社グループの社員が安心して働き活躍できるよう、働き方改革等を引き続き進めるほか、DX等による業務の変革やICT人材の育成を推進します。
コロナ禍を経た今、北海道には世界各国からたいへん多くのお客様がお越しになっています。この世界的にも魅力溢れる北海道の地において、当社は様々なプロジェクトに挑戦し、さらに北海道の魅力を高め、成長させるべく日々奮闘してまいりますので、皆様の変わらぬご支援とご指導をよろしくお願い申し上げます。
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