【観光業界リーダー年頭所感】東海旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 丹羽俊介 氏
年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
平素より、JR東海グループに対しまして格別のご高配を賜り、厚く御礼を申し上げます。
昨年は、安全の確保を最優先に、サービスの一層の充実、社員の業務遂行能力の向上、設備の強化に取り組みました。その上で、ICT等の最新の技術を活用して効率的な業務執行体制を構築する「業務改革」と新しい発想による「収益の拡大」の2つを柱とした経営体力の再強化に取り組みました。
東海道新幹線については、「のぞみ12本ダイヤ」を活用して、需要にあわせた弾力的な列車設定を行い、また、N700Sの投入、地震対策、大規模改修工事等を進めました。在来線については、「しなの」、「ひだ」等の特急列車について、需要にあわせた弾力的な増結や増発を行い、また、通勤型電車315系の投入を進め、これまで投入してきた名古屋地区に加えて、静岡地区にも投入しました。
営業施策については、「EXサービス」について、「EX旅パック」や「EX旅先予約」、最大1年先の指定席の予約が可能なサービス等を活用して、ご利用の拡大を図りました。また、東海道新幹線開業60周年にあたり、記念企画を実施しました。
中央新幹線については、都市部トンネル、山岳トンネル、駅等の各種工事を精力的に進め、第一首都圏トンネル梶ヶ谷工区及び東百合丘工区では、本格的な掘進を開始しました。また、南アルプストンネル静岡工区については、トンネル掘削工事の早期着手に向け、静岡県等と対話を重ねました。
高速鉄道システムの海外展開については、米国における高速鉄道プロジェクトについて取り組みました。また、台湾高速鉄道について技術コンサルティングを進めるとともに、N700Sをベースとした新型車両調達に関する技術コンサルティング契約を新たに締結しました。
鉄道以外の事業については、グループ共通ポイントサービス「TOKAI STATION POINT」について、駅売店等を対象施設に追加するなど利便性の向上を図りました。また、中央新幹線神奈川県駅(仮称)付近で、神奈川県・相模原市等と連携し、イノベーション創出促進拠点「FUN+TECH LABO」の運営を開始しました。
当社を取り巻く経営環境は大きく、速く、変化しています。こうした変化を的確に捉えながら、さらに強靭な経営基盤を持つ会社にすべく、引き続き、経営体力の再強化という進化・変革にグループ会社を含む社員が一丸となって果敢に挑戦していく考えです。そのため、迎えた2025年も、安全を最優先として、諸施策を力強く進めます。
まず、鉄道事業については、災害対策をはじめとした安全対策を着実に進めます。新幹線では、N700Sの投入や車内のビジネス環境整備等に継続して取り組み、在来線では、名古屋駅の中央本線ホームへの可動柵設置工事を進めるとともに、引き続き315系の投入を進めます。
営業施策については、「EXサービス」で、プラン・コンテンツをさらに充実させてご利用シーンを広げることで、ご利用の拡大を進めます。
中央新幹線については引き続き「工事の安全」「環境の保全」「地域との連携」を重視しながら、早期の開業を目指して全力で取り組みます。
鉄道以外の事業については引き続き駅商業施設のリニューアルを進めるとともに、本年夏に開業予定の「コートヤード・バイ・マリオット京都四条烏丸」をはじめとする新規ホテル開発等事業拡大に果敢に挑戦します。
このように当社は、「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」という経営理念をより高いレベルで実現させ、すべてのステークホルダーの皆様からの信頼を高めて持続的な成長を目指していく所存です。
本年も皆様のご健勝を心からお祈りし、引き続きのご支援を賜りますようお願い申し上げます。
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