【観光業界リーダー年頭所感】西日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 長谷川一明 氏
平素よりJR西日本グループに対しまして格別のご高配を賜り、厚く御礼を申し上げます。
2024年はアップデートした「中期経営計画2025」のもと、引き続き「私たちの志」を羅針盤に人々の心、未来を動かす挑戦を重ねてきました。
特に能登半島地震からの鉄道の復旧、北陸新幹線金沢―敦賀間開業や大阪駅西部プロジェクトの推進等を通してグループ全体で地域・社会とのつながりを進化させ、未来につながる成長の礎を築くとともに、その基盤となる人財づくりとして「全員がいきいきと活躍できる職場」の実現に向けて課題の改善に取り組んできた1年でした。
その結果、グループの事業収益についてはインバウンド需要の取り込み等により総じて堅調に推移し、運輸収入においても直近は好調なご利用が続いております。引き続きグループ全体で、各事業における更なる需要の創出に取り組んでまいります。
2025年においても最重要課題は鉄道の安全であり、「お客様を安全に目的地までご案内すること」は不変の使命です。被害に遭われた方々へ真摯な対応を行うとともに、「祈りの杜」や2025年度に完成する「事故車両保存施設」をもとに、福知山線列車事故の事実や悲惨さ、いのちの大切さを心に刻む取り組みをより一層進め、事故の反省と教訓を継承し続けます。そして、引き続き将来にわたる鉄道の安全の実現に向けて取り組みを積み重ねてまいります。
そして、2025年は大阪・関西万博が開催される記念すべき年でもあります。まずは地元企業・輸送事業者の立場から、万博の成功に向けて国内外の多くのお客様に安全で安定した輸送サービスを提供し、お迎えすることが大切だと考えています。あわせてインバウンドの拡大も今年の大きなテーマとして、万博効果を最大化すべくインバウンドの受け入れ態勢の整備等を集中的に進めていきます。この機会を捉えて顧客視点でのサービスを磨き上げるとともに、広島新駅ビルminamoaの開業、新決済システムWesmo!導入などを通して、将来にわたって当社サービスを繰り返しご利用いただけるような価値創出につなげてまいります。
一方で、人手不足やインフレ等の大きな変化は今後も続いていくと考えており、これらの脅威を乗り越える原動力は人財であるとの思いは変わりません。グループを挙げてITリテラシーの向上を図るほか、鉄道を支える人財の育成を行うとともに、キャリア開発等を通じて多様なスキルや経験を持つ人財の成長を支援し、一人ひとりが自分の力を最大限に発揮できる環境づくりにグループ全体で取り組みを進めます。
コロナ収束以降も世の中の変化は大きく、「私たちの志」を羅針盤に、道なき道を切り開いていく、強い気概と前向きな挑戦心が求められています。大阪・関西万博というチャンスを将来の持続的成長につなげるべく、「心」と「未来」を動かす取り組みをより一層加速してまいります。
末筆ながら、皆様方のご健勝をお祈り申し上げ、年頭のご挨拶といたします。
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