川湯温泉で第4回12湯サミット 聖地・熊野で“よみがえり”宣言
温泉振興協働の機運高まる 熊野詣と温泉に一体感
川湯温泉の山水館 川湯みどりやで開かれた第4回わかやま12湯サミットin熊野本宮大社・川湯温泉。「人を蘇らせる温泉の聖地の魅力を探る」をテーマに掲げ、県内各地の自治体や観光団体、宿泊関係者のほか約100人が出席した。
はじめに、主催者のわかやま12湯推進協議会の青木査稚子会長があいさつ。「世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』登録20周年の節目の年に熊野本宮温泉郷のひとつ川湯温泉でサミットを開くことができて感謝申しあげます」と述べ、コロナ禍が始まった2020年2月に協議会が発足したことを伝え「こうして本日、熊野本宮大社に祀られている12の神々と12湯というご縁で、よみがえりの温泉地である熊野本宮温泉郷で新たなスタートが切れたことは、熊野の神々のお導きがあったように思います」と話した。
来賓として出席した観光立国調査会会長で、参議院の鶴保庸介議員は「第2回のサミットから出席していますが、本日お集まりの顔ぶれや参加されている人数の多さを見て、和歌山を代表する協議会になりつつあると実感しています。温泉だけでなく観光全体を考える100人委員会的なものを作って、官民が一緒になり和歌山の観光を盛り上げていけることを願っています。私も尽力したい」と語った。
和歌山県の下宏副知事は「知られていない和歌山の温泉の魅力を国内外にアピールするという協議会の主旨に賛同しています。和歌山にはミカンや桃などの有名な農産物がありますが、和歌山のミカン、桃とは言わずに有田のみかん、あら川の桃と言われます。温泉に関しては和歌山の温泉としてもっと世に出るように皆さんで盛り上げましょう」と訴えた。
熊野本宮大社の九鬼家隆宮司は「熊野本宮大社と12神」と題して講演した。「熊野は神々が鎮まる特別な地域と考えられ、平安時代に皇室や貴族によって都から熊野詣が始まり、やがて庶民にも広がりました。熊野詣の前後には身を清め、疲れを取るために参詣者は必ず温泉に入りました。その意味で熊野詣と温泉は一体感があります」と述べ、全国には数多くの神社があり、その多くは近くに温泉があることに触れ「その関係性を一度探ってみては」と提案した。
また「熊野の12の神々にはそれぞれ役目があります。わかやま12湯の各温泉地にも個性や役割があります。12の神々と12の温泉をうまく活用してほしい。来年は巳年なので、今年の世界遺産登録20周年をテコに“脱皮”し、オール和歌山で和歌山の温泉をアピールしてほしい」と来場者に呼びかけた。
講談師の旭堂南龍さんは、熊野の温泉がよみがえりの温泉といわれるようになったいきさつを講談「小栗判官と照手姫」を通じて解き明かした。小栗判官は毒殺され餓鬼の姿に変えられたが、照手姫をはじめ多くの人に助けられ、熊野の湯に入って無事に元の姿に復活したという。参加者は臨場感あふれる南龍さんの講談に聞き入った。
サミット最後は、参加者を代表して川湯温泉・富士屋の女将、小渕祥子さんが登壇。わかやま12湯は、熊野本宮大社の「熊野十二所権現」にあやかり12の温泉がそれぞれ国内外から訪れた人をよみがえらせ、元気にする温泉地であることを「よみがえりの温泉郷〜温泉の聖地・わかやま」とする―熊野本宮温泉郷宣言を読み上げた。
なお、サミット開催前には来賓として招かれた全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の井上善博会長に「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産への署名が手渡された(12面参照)ほか、交流会では、献湯祭で歌を奉納した歌手のKAYAさんのミニライブが行われた。
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今回のサミットに来賓として出席した方々は次の通り(敬称略)。
▽鶴保庸介(観光立国調査会会長・参議院議員)▽下宏(和歌山県副知事)▽谷口和樹(和歌山県議)▽中場毅(和歌山県環境生活部環境政策局局長)▽林正尚(和歌山県観光局観光振興課長)▽井上善博(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会会長)▽亀岡勇紀(全旅連専務理事)▽中野哲二(田辺市観光振興課長)▽及川眠子(作詞家・わかやま12湯推進協議会顧問)▽赤木靖人(田辺市本宮行政局長)▽田端浩(元観光庁長官)▽大平克之(徳島県大歩危・祖谷いってみる会相談役)の12人。
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