ONSENを世界無形文化遺産に 「温泉文化」のユネスコ登録目指す
日本が誇る文化「温泉」を世界へ―。全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)を中心に、日本の「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録に向けた取り組みが積極的に展開されている。登録実現を国民運動化しようと署名活動を実施中。「わかやま12湯」のブランド化に取り組む和歌山県でも旅館組合を中心に署名活動に取り組み、約2カ月で1万5千筆を集めた。今後も観光関連団体などで組織する協議会を中心に協力を呼びかけ、日本全体で登録への機運を盛り上げるとともに、ONSENの世界共通語化を目指す。
全国推進協が署名活動推進
ユネスコ無形文化遺産は2003年に無形文化遺産保護条約やユネスコ総会で採択され、06年に発効。現在、世界180カ国が締約し、日本では能楽や歌舞伎をはじめ和食、和紙など22の文化遺産が登録されている。毎年3月に締約国からユネスコに約60件が申請され翌年11月ごろに政府間委員会において決定される。今年12月には日本の「伝統的酒造り」も登録される見通しとなっている。
日本の「温泉文化」は自然の恵みとして日本全国で古くから心身を癒やす、日本人のよりどころとして暮らしを支えてきた、日本固有の文化。無形文化遺産登録は、その温泉を次代へ保護・継承するため、温泉文化の価値を国内外に発信、「ONSEN」を世界に誇るブランドにしようと推進。全国の温泉地や行政、企業・団体ら日本が一丸となって取り組みを進めている。
無形文化遺産登録への活動は「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産推進協議会が主体。全旅連が事務局を務め、全旅連のほか日本温泉協会や日本旅館協会、日本観光振興協会、日本旅行業協会、全国旅行業協会ら日本の観光業界の主要団体、全国の旅館ホテルも施設会員も参画している。小説家の浅田次郎さん、作家の嵐山光三郎さん、放送作家の小山薫堂さん、作家の林真理子さんがアドバイザリーボードとして温泉文化の価値や魅力を広く発信している。
署名活動は協議会、全旅連を中心に展開。100万筆という大きな目標に向け、国民運動化を目指す。和歌山県では10月2日に開かれた「わかやま12湯サミット」を機に2カ月で1万5千筆を集め、全旅連の井上善博会長に手渡した(別掲参照)。他府県も和歌山に続こうと積極的な活動への機運が高まっている。
さらに、国会議員や関係省庁への働きかけも続けており、目指すは2028年の登録。活動を支えるのは多くの各県知事の賛同。平井伸治鳥取県知事が会長の「『温泉文化』ユネスコ無形文化遺産登録を応援する知事の会」も立ち上がり、「『温泉文化』ユネスコ無形文化遺産登録推進議員連盟」も発足するなど登録に向けた支援の輪は広がりをみせている。
同協議会では活動の幅を広げるため、会員も引き続き募集。日本の温泉・観光業界一丸となって登録を実現させる。
詳しくは同協議会HP(https://www.onsen-culture.org/)へ。
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