"人命第一"を忘れた対応 バス事故に遭遇した読者から
6月中旬、仲間とツーリングを楽しんでいた旅行会社社長が、観光バスとオートバイの事故現場に遭遇した。転倒したバイクの男性が顔から血を流していた。
路肩に自らのバイクを停め、慌てて駆け寄った。「たぶん事故から10分ほど経っていたんと違うかな。バスの運転手もガイドも何もしていない。救急車も呼んでいない。バスも動かさず、その場に停車したまま」。
和歌山県高野山に近い国道480号線。休日の午後で、事故現場の前後で車が長い行列を作りだしていた。
社長たちは手分けして男性を介護する一方、交通整理を始めた。男性には、事故を起こしたバスに後続していたベンツの同乗女性がずっと話しかけていた。その間、事故を起こしたバス車内の乗客は野次馬のように遠巻きに見ているだけ。添乗員も同様だ。
「ぼくらが着いてから20、30分したぐらいで、ようやく運転手が氷と水を持って降りてきた。男性を冷やそうとしたらしいが...」
救急車が到着し、男性は運ばれた。結局、社長たちは1時間ぐらい現場にいた。
「去年4月の高速ツアーバス事故以来、ドライバーの運転時間や距離など言われ、我々も安全第一と思い遵守している。だけど、何かコトが起きたらすぐ動かないとダメでしょう。何をおいても人命が一番。我々旅行会社もバス会社も、法律がどうのこうのの前に、肝に命じておくべきだ」
「最後に余談だけど...」と前置きして、その社長は「あのバス会社は絶対に使わんぞ」。