楽しく読めて ときどき役に立つ観光・旅行専門紙「トラベルニュースat」

読者の声 今回の措置は机上論-貸切バス新制度

旅行者の安全・安心の確保のために、国が施策を定めるは当然のことと理解している。しかしツアーバスの事故があったとはいえ、再発を防止するための今回の措置は短絡的で机上論である。

安全管理を確保するために必要な収入は、貸切バスの適切な需給関係から生まれるべきで、その根源を放置して運賃料金で対処するのは大きな問題だ。自由主義経済での価格は売り手と買い手との需給関係で決まるのに、規制緩和の下に安全設備・要員確保も十分でない会社の設立を認め、需要を上回る増車を行ってきたことに間違いがある。需給関係が適切であれば運賃料金は適切に保たれ、当局が値段表を決めるような事態は起きなかったと思われる。

しかし現実論として減車などで需給関係が変えられないのであれば、今回の措置について要望すべき点を列挙したい。

観光バスは、渋滞や交通事故の発生などで運行経路が変わり、時間も変わる。硬直した運賃料金を決めるのは現実的でない。タクシーのように弾力的な運行こそが、旅行者にとって観光バスの魅力である。

バス事故の多くは低賃金、長時間労働などに起因する居眠り運転が大きな要因である。今回は「適切な雇用」と書いてあるが、労務管理の部分が希薄である。長時間労働、低賃金は厚生労働省が担当ではないのか。労働基準法遵守や労働条件改善を運賃改定に織り込まないなら根本的な解決にならない。

始業点検や終業点検をその都度、利用者に負担させる制度になっているが、安全管理のためのコストはバス会社の義務であり、基本的な運賃料金に織り込まれるべき。時間の長短に関係なく同じ基準は納得できない。学校団体や身体障害者団体など割引制度があると書いてあるが、下限を下回ってはならないのなら割引ではない。

今回の改定で、旅行者が敬遠してしまい他の交通機関を利用することが予想される。間違いなくバス会社の収入減をもたらす。競争力のないバス会社は倒産に追い込まれ、これにより自然に需給関係を適切な状態に戻すのが本当の狙いではないかと邪推してしまう。本気で推進するのであれば、取引を完全に監視するために大量の職員を投入してもらわなければならない。

広告料や協定料などの名目でお金が戻されないように、表も裏もクリーンな状態で取引されているか徹底的に調べる必要がある。それができないのであれば白紙に戻し、現場の意見を取り入れた体系に変更すべきである。

購読申し込み
地旅
夕陽と語らいの宿ネットワーク
まちづくり観光研究所
地旅
関西から文化力
トラベルニュースは
文化庁が提唱する
「関西元気文化圏」の
パートナーメディアです。
九観どっとねっと
ページ
トップへ