幕末の名医・華岡青洲が紡ぐ縁 熟塾、和歌山県紀の川市へバスツアー実施
大阪の文化活動グループ「熟塾」(原田彰子代表)が6月23日、和歌山県紀の川市を訪ねるバスツアーを行った。江戸末期に一人の医師を通じて深い関わりがあった大阪・中之島と紀の川市の縁をツアーとして再現。ブランド品「あら川桃」の選果場、西国三十三カ所観音霊場の「粉河寺」なども見て回った。
ツアーは、人気テレビドラマ「JIN-仁」の原作者で漫画家の村上もとかさんと、代表の原田さんが出会ったことがきっかけ。幕末を舞台にした新作「侠医冬馬」の制作で、原田さんは村上さんから中之島に「合水堂」という適塾と双璧をなす医術の学校があったことを知る。
合水堂は、世界で初めて全身麻酔による乳がんの摘出手術に成功した華岡青洲が開設。青洲が拠点とした紀の川市の「春林軒」のいわば分院にあたり、村上さんの新作は主人公が合水堂で学ぶところから始まる。
大阪にいながら合水堂の存在を初めて知った原田さんは今年1月、村上さん、紀の川市の林信良副市長らを招き熟塾主催でシンポジウムを開催。今回のツアーはその続編で、春林軒など紀の川市を訪ねるために企画した。
ツアーには、紀の川市出身の落語家桂文福さんが同行。バス車内を終始盛り上げ、春林軒では寄席を設けて「なぞかけ」の落語を披露した。また、林副市長も、当時のままの佇まいが残る春林軒をはじめ市内各所をフルアテンド。
2000年11月にオープンした「めっけもん広場」は訪問日、来場者が累計1400万人に達した市内随一の人気施設。この時期は、あら川の桃が旬の時期でもあり、多くの人で賑わっていた。春林軒に隣接する「青洲の里」では地元野菜をふんだんにつかった料理のバイキング。展示室では青洲が実際に使った手術道具なども見学した。
JA紀の里西部流通センターでは、あら川の桃を自動的に選別し出荷する様子を解説してもらったほか、市価より大幅に安く販売された桃をほぼ全員が購入。名刹・粉河寺では住職の講話を聴き、最後は「たま駅長」で知られる和歌山電鐵にも区間乗車した。
「今度はゆっくり泊まりがけで来てください」という林副市長の呼びかけに、参加者から拍手が沸き起こった。
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