巻き手紙で伝わる想い 筆手紙道家元・浦川良子さんの便り
「令和初桜」という書き出しで、和紙に綴られた巻き手紙をいただいた。美しい文字と絶妙な配置、ところどころ桜の花びらがくり抜かれ貼られている。こんな手紙をもらったのは初めてだ。
手紙を送ってくれたのは、筆手紙道協会の家元として筆文字で書き綴る書や手紙の「良子流」を伝授されている浦川良子(うらかわ・よしこ)さん。先日お会いする機会があり、そのお礼状としていただいた。筆不精の自らを恥じるだけではなく、メールやSNSが幅を利かすなか、筆で書かれた、しかも巻き手紙。折り目を繰っていき一文字ひと文字を追いかけていくことは新鮮であり、感動的だ。
また、その文字の配置や色合い、音が聞こえてきそうな大和言葉。絵や落款も挿しいれられていて、巻き手紙を広げると額に入れたくなる作品と言っても過言ではない。…と、ここまで書いてきて良子さんからいただいた手紙の魅力を伝えきれないもどかしさ、筆力のなさが悲しい。かといって、巻き手紙の写真を載せればいいかというと、それは違うように思う。
良子さんから手紙をいただいた人は、皆同じ感慨にふける。だから、良子流を真似て、親しい人や縁あった人に巻き手紙を書きたくなる。今から3年ほど前から良子さんは自宅でお稽古を始めた。初めは親しい人が通い始め、今ではビジネスマンや老若男女問わず、良子さんに教えを乞うている。コロナ禍で直接のお稽古がままならなくなったため、5月からオンラインのライブレッスンもスタートさせている。
次回(6月10日発行号)では「自分の気持ちを相手に運ぶ一番身近なツールが手紙です。デジタルな世の中だからこそアナログの手書きの手紙がインパクトを与え、人や仕事を引き寄せる力強さがあります」と、語る良子さんのお話を掲載する。巻き手紙を始めたきっかけや自身が感じている魅力など、人を惹きつけてやまない筆手紙道について語っていただいた。(続)
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