旅行再開には「収束」が前提、「管理型旅行」今は懐疑的 JTB総研がコロナ禍の海外旅行意識調査
JTB総合研究所は3月30日、2月に実施した「コロナ禍におけるこれからの日本人の海外旅行意識調査」の調査結果をまとめた。観光渡航への見通しがたたないなか、今と未来、海外への旅をどのように見据えているのか。
本調査は2017―20年に海外旅行に行き、今後数年間に海外旅行の意向を持つ2187人が回答。今後の海外旅行再開に対する意向は「世界的に新型コロナが落ち着くまでは行かない」60・4%がトップ。「行きたい国・地域が旅行者を受け入れるようになったら」25・8%、「どの国・地域であってもすぐに行きたい」は13・8%を大きく引き離し、慎重な姿勢を崩さない人が大半だ。海外旅行の再開のきっかけは「新型コロナに対する効果的な治療薬が見つかれば」40・4%が最多。性年代別では男性15―29歳が旅行再開に積極的なデータが並んだ。
海外旅行が可能になったら行きたい国・地域は、ハワイ、台湾、米国本土、オーストラリア・ニュージーランド、韓国の順。ハワイは「好きだから」、台湾や韓国は「日本から比較的近い」などが理由として多いが、台湾やオーストラリア・ニュージーランドは「新型コロナ感染者数が少ない」などコロナ対策が目的地選択の基準のひとつになってきた。
日本旅行業協会と全国旅行業協会は政府に対し、旅行者の行動履歴を把握できる「管理型旅行」から始めることを提案するなど海外旅行再開に向けた動きが進むなか、「隔離旅行」や「管理型旅行」への意向も質問。入国後に隔離期間が設けられる「隔離旅行」でも海外旅行に行きたいかは、容認派は全体の16・9%。「管理型旅行」については「すぐにでも」は全体の12・7%にとどまり、「個人で好きなように旅行ができるようになるまで控えたい」が41・7%で最多となった。
そのうち「どの国・地域であってもすぐに行きたい」と回答した人でも「隔離旅行」は容認、「管理型旅行」はあまり積極的ではないという結果も。旅行経験豊富な人は旅行先で自由な活動を求める傾向が強く、これを満たすツアーの内容が必要なようだ。
海外旅行の再開に向け今行っていることは、「特にしていない」が過半数を超え、関心低下が懸念されるところ。具体的な行動を起こしている人は貯金や情報収集が多い。旅行事業者は旅行再開に備え、今のうちから情報発信の強化に努めていく必要がある。
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