かつて高野山にゴンがいた 和歌山・慈尊院(2) 道案内し心に寄り添う
その犬は、慈尊院から聞こえる鐘の音を好み、いつしか「ゴン」と呼ばれるようになった。慈尊院から高野山まで約20キロの道のりを参詣者の少し先を歩いて案内し、夜には慈尊院に戻ってくるという毎日を送るようになったそうだ。
「実は、弘法大師も犬に案内されて高野山にたどりついたという伝説があるのです。ゴンはその生まれかわり、お大師様の案内犬の再来ではないかと私たちも驚いていました。自分の飼っていた犬の供養にお遍路されていた方がゴンと出会い本当に供養になったと喜ばれたこともありました」
多くの人に愛されたゴンだったが、空海の母の月命日だった2002年6月5日に息をひきとった。「高野山案内犬ゴンの碑」は亡くなってからひと月あまりで建立。ゴンを惜しむ人が足を運んだという。
その翌年、高野山開創1200年のプロモーションで慈尊院を訪れたのが歌手の妙佳(たえか)さん。音楽プロデューサーのバンディ石田さんと一緒にゴンの話を聞き、ゴンの曲をつくった。
「住職と副住職のお人柄にも触れ、ゴンのお話しがとても響いたんです」と妙佳さんは、ゴンの紙芝居を作り、大阪市内の小学校142校で読み聞かせを行った。その時、子どもたちに書いてもらった5千人のメッセージは今、ゴンちゃんのお墓に奉納されている。
安念副住職と妙佳さんはゴンちゃん、お母さんを感じにお参りに来ていただければうれしいと話していた。
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