劇場街「道頓堀」の復興 並木座仕掛人・山根秀宣さんの挑戦(2)
賑わいの音響かせる 旅行会社にも利用呼びかけ
実は、山根さんがミュージアムを「並木座」と名づけたのも、その回り舞台がきっかけ。江戸期の道頓堀で人気を博していた出し物に「からくり人形」もあり、様々なからくりを天才的に考案したのが並木正三(なみき・そうざ)だったそうだ。歌舞伎の回り舞台、セリなども正三の考案で、山根さんはそこから「並木座」と命名しようと決めた。
正三が、水かけ不動尊で有名な法善寺で祀られていることを知った山根さん。苔むした数多くの墓碑の中から正三の墓を探し回り、奇跡的に見つけてお参りをした。その夜、正三が枕元に立ち「師匠の並木宗輔も頼む」という不思議な夢を見た。
「それまでミュージアムを作ることは決めていたのですが、この夢を見て、単にパネル展示だけではなく回り舞台など、正三が考案した舞台装置も再現し、面白く楽しい施設にしようと決めました」
上方芸能史の研究者である荻田清さんや河内厚郎さんらの協力も得て、小ぶりながら劇場街・道頓堀をユニークに追体験できるミュージアムのオープンに漕ぎつけた。
「オープン当初は欧米の方などもお越しになり興味深く見学されていました。今はコロナでたいへんですが、NHK連続テレビ小説『おちょやん』で、道頓堀が芝居のまちと取り上げられ、注目され始めています。クイズも交えた映像、かつらをかぶって記念撮影なども楽しめます。旅行会社の皆さんにもぜひ来てほしいですね」と山根さん。
5年後の2026年に道頓堀は劇場街が形成されて400周年を迎える。その前年、400年目の25年には大阪・関西万博が開かれる。その年に、並木座に再現した太鼓櫓に立って、「道頓堀五座」で賑わった劇場街復興の音をまちに響かせるつもりだ。
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