フェリークルーズの可能性を探る 各社代表による観光座談会(3)
―フェリーと現地の着地型ツアーという動きはないのでしょうか。
山本 幹線は公共交通機関で行ってできるだけバス行程を短くし、フェリーを活用したコースを各旅行会社に提案をしています。フェリーならお客様にご納得いただける価格をご提供できます。これが一番大きい。いろんな着地型企画を提案できると広がりが出てきます。
利便性の向上にも注力
100%クルーズということではなく、それなりの船旅を楽しんでいただける環境づくりが私どもに求められている感じはしています。LCCには時間で勝てない、利便性もよくないといったことでは勝負はできません。効率だけではない船旅のよさをご提供できさえすれば必ずお客様には支持されると思います。
河越 今回新造船には初めてスイートルームを20ルームも造りました。個人のお客様は料金の上の方から売れるものですが、団体のお客様でも高額商品から売れていくんです。これには驚きました。
先ほど前川部長が言われたように、クルーズに近いフェリークルーズが短期間で経験できるのがスイートルームです。
露天風呂も完備しクルーズらしいリラックスできる設備も設けていますが、私どもにとってフェリーの原点は車です。個室対応もできていますので、個室と車利用には力を入れていきます。
岡田 神戸航路になっておもしろい傾向は、関西の旅行会社が神戸発でお造りになっているツアーと宮崎、鹿児島の旅行会社のフェリーで来られたお客様を神戸でドッキングさせ1本のツアーにするケースが出てきています。神戸では30人しか集まっていなくても宮崎、鹿児島で10人ずつ集まれば神戸の人数をプラスすれば40人で出発できるというものです。
河越 お客様を待たせるということでフェリーのサービスはよくありませんでした。私どもはカードキーを使っていますが、カードキーは下の窓口でお渡しする。案内所を通さずにそのままお部屋に入っていただけるようにしています。
山本 エアラインと同様の事前決済で窓口をスキップします。その部分の利便性は高まりますので、業界レベルで各社と進めていきたい。そうすればフェリーは乗るのに面倒くさいといわれなくなりますし、イメージも変わってきます。
→フェリークルーズの可能性を探る 各社代表による観光座談会(4)に続く