中小旅行会社の存在感示す OATA新三役、現状と今後を語る(1) HOK連絡会が転機に
2019年度の協同組合大阪府旅行業協会(OATA)の新体制がスタートして半年。京都府と兵庫県の旅行業協同組合と連携して進める「HOK連絡会」や、新しい組合員の入会などで好調な滑り出しを見せている。OATAの現状、今後の展開について徳原昌株理事長(大阪国際旅行)、鈴木隆利副理事長(ワールドツアーズ)、清水康市専務理事(三協マネジメント南海コスモツアーサービス)の三役で話してもらった。(鼎談は4月末に実施)
組合員増強、宿泊券増売に手応え
−これまでの2年間と現状をお聞かせください。
徳原 現在組合員数は106社。組合員数は100社を維持するだけでなく、もっと増やしていけるようOATAの強みを訴え、取扱額も100億円は最低でも達成できる体制を作っていきたいと思っています。
この5、6年で入会した新会員が結構力をつけてきて、今年の総会でも発表したように目標を超える売上が達成できて、現在もクーポン発券額は昨年と比べて106%の数字で推移しています。なかでも我々と協力関係にある受入施設のOATA連絡協議会の一番の関心事である宿泊券の伸び率が昨年後半ごろからプラスに転じ、現在は120%で推移しています。
宿泊券や観光券はどちらかというとマイナス傾向だっただけに喜ばしいことだと思っています。
−宿泊券が伸びている理由を教えてください。
徳原 数字の伸びは、新たに加入した組合員が宿泊券の取り扱いに頑張ってくれていることと、京都府旅行業協同組合(京旅協)と兵庫県旅行業協同組合(兵旅協)とOATAの3組合が連携して進めている「HOK(ホコ)連絡会」の存在が大きいですね。HOKでは京旅協がこれまで単独で企画・販売してきた「京りょ まる得ユニットプラン」を2年前から共同販売しており、その実績が宿泊券増売につながっています。
−HOKについては立ち上げ時から深く関わってこられた鈴木さんにもお話しいただきたい。
鈴木 HOKは2年前、近畿で統一クーポンを発券する京都、兵庫、大阪の協同組合が個々の取引は少量も共同で取り組むことによって有利な取引が可能になりスケールメリットを生かすことができる、という前提で立ち上げました。
2年前に行ったOATAビアパーティーの日に私が声がけをして、3組合とOATA連絡協議会の役員で話し合い、HOKはスタートしました。「まる得ユニットプラン」の販売が主な事業で、1年目は京都と大阪で1千人を送客しました。2年目からOATAの内報で毎月クーポンの発券額や送客人員を紹介し、まる得ユニットプランの数字を示し、いかに売れているかをアピールしました。
毎月具体的な数字を出したので組合員も「数千人が動くプランなら内容も魅力的ではないのか」と興味を持つようになり、事務局へ問い合わせが増え、販売数が伸びていきました。多い時には1カ月で3千人という月もありました。結局2018年度下期で1万人を超える集客となり、クーポン発券額も1億円という数字を残し、話題になりました。
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