ポストコロナの未来予想図 協同組合大阪府旅行業協会の新三役が語る(1) 組合員増強で100社維持
コロナ禍の真っ只中で観光業界が大きな転換期にあるなか、協同組合大阪府旅行業協会(OATA)の舵取りを任された鈴木隆利理事長(ワールドツアーズ)。7期14年にわたり理事長を務めた徳原昌株さんからバトンを託された。清水康市副理事長(三協マネジメント南海コスモツアーシステム)、笠舞紀伴専務理事・事業部長(照南トラベルサービス)とともにOATAの現状と今後について話を聞いた。
異業種からの加入に期待も
−OATAの組合員数、組合事業など現状を教えてください。
鈴木 コロナ禍で旅行業界を取り巻く環境は大きく変わっています。大手旅行業者も事業縮小または合理化などの人員整理を行い、厳しい状況下にあります。しかし、OATAの退会組合員は今期に入ってから1社もなく、5月現在で100社を維持しています。
組合員増強は支部長会を中心に啓蒙活動を行っており、8月までに3社または4社が入会する見込みです。OATAは「100社100億円で」と前理事長がよく話していましたが、コロナ禍でのクーポンの増売はむずかしいのが現状です。しかし新規組合員を増やすことならやり方次第でできますので、なんとか100社はキープしたいと思っています。
清水 確かに現在100社を維持していますが前期は102社から97社と5社減っています。いずれも未精算ではなく高齢化による廃業や後継者不足といったことが原因です。過去3、4件の未精算はありましたがこの5年間、未精算による倒産廃業はまったくありませんし、これからもないことを祈っています。
ただ悲しいことにコロナ禍の中ですからクーポンの発券はほとんどありませんので、未精算を出しようがないというのが実情です。その意味においては安心なんですが、数年後に資金繰りが苦しくなってくるところが出てこないとも限りませんから、今から対処は考えていく必要はあるでしょうね。
笠舞 新入会員については異業種からの参入が目立ちます。我々のように旅行業1本ではなく、本体の事業に付随したサービスとして旅行業の資格を取り、OATAに入会されているようです。
旅行業だけで商いをしてきた者にとって、異業種から参入してこられた組合員のあり方は、生き残っていくためのヒントを与えていただけるのではないか、と期待する面もあります。
またコロナ禍が落ち着いたら、爆発的な旅行バブルが起こるという見方もある一方、旅行ではない部分へ個人消費が流れてしまうのではないか、と不安視しているところもあります。
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