時代に即した組織 近兼孝休さん(日本観光旅館連盟会長)(1)
今年6月に開いた総会で、日本観光旅館連盟(日観連、3561会員)の新会長に選出された近兼孝休さん(香川県・湯元こんぴら温泉華の湯紅梅亭)。近兼体制がスタートして4カ月が経過した。来年迎える日観連創立60周年を控え、現在の心境をうかがった。
顧客と地元を大事にする宿づくり
―6月の総会で会長に就任され、4カ月が過ぎました。どのようなご感想をお持ちでしょうか。
お客様の宿泊ニーズは多様化し、団体・法人客から個人客へとシフトしています。人口減少も進み、経済危機や新型インフルエンザのような問題も起こっています。
こういった背景から日々、顧客が旅館に何を望んでいるかを考えて、満足していただく宿づくりが大事だということを実感しています。日観連の活動も同じことで、顧客を大事にする宿づくりを後押しするのが日観連だと思っています。
また地域の発展なくして宿の繁栄はありません。宿屋自体は地元に愛される宿づくりを目指すべきで、日観連としては顧客と地元を大事にする宿づくりを盛り上げる必要があると思います。
―具体的に何かあれば教えてください。
日観連だけでなく国観連、全旅連と一緒になって取り組むことになりますが、2010年度の日観連税制改正要望として、地域経済の活性化と国民の健康増進を図るため、家族旅行を中心とした国内宿泊旅行費用について、年間1人5万円を限度とする所得控除制度をつくってほしいと要望案を国へ提出しました。
旅館ホテルの宿泊代には雇用や地域社会の様々な分野に配分され、地域活性化の重要な役割を担っています。
欲求不満やストレスが国民の心や身体に様々な不調を生じさせて、精神疾患などの増大につながっており、この精神疾患を予防し国民の健康を守るには適度な休養とリフレッシュを図る国内宿泊旅行を促進する必要があります。家族の絆を深め、健全な青少年を育成するために家族旅行の促進も大事です。
そういった判断から国内平均宿泊単価を1万2千円と想定し、観光立国基本法で国民が年間4泊することを目標としているので、所得控除額を5万円と定めました。
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