「宿公式」で直販増加へ 日本旅館協会IT戦略委員長・石橋政治郎さんに聞く(2) 直販支援「DRS」導入を
独自の付加価値で集客促す
−実際に「宿公式」の販売状況はいかがでしょうか。
石橋 協会会員だけの数字しかわかりませんが、以前のシステムで運営していた昨年と比べると売り上げが約2億円になり、2倍近い伸びとなっています。とはいっても、まだまだ少ない数字ですので10億円、20億円と売り上げを伸ばし「宿公式」が広く国内のお客様に認知されるようにしていきたいと思っています。そのためにもまだDRSシステムを登録されていないお宿さんには、ぜひとも参加促進にご協力していただきたいと考えています。
今のところ全国でDRSシステム導入施設は2019年1月の段階で、1800社だとお聞きしています。
−どのようにすればDRSシステムに登録できるのでしょうか。
石橋 全旅連、日本旅館協会ともにSYS社とは協力関係にあります。どちらかの組織に連絡いただければ対応させていただきます。プランの取り込みが必要な方は、じゃらんのプランから一括でできるようにもなっていますので、簡単に始めることが可能です。
−話は変わりますが、一部のOTAに対して最低価格保証などの問題で公正取引委員会が調査していることやシートリップ、古くはじゃらんのフェイスブックなど、OTAがからむ諸問題が周期的に起こります。この点についてはどのようにお考えですか。
石橋 今後も商習慣の違う海外OTAを中心として様々な問題が発生するのは避けられないと思います。我々宿泊施設にとって、契約するOTAの取捨選択が必要な時期がくるのはまちがいなく、その段階で選択肢が宿泊施設になければなりません。そのためにも自社の直販売の売り上げが一番である必要があります。
注意しないといけないのは、いずれかのOTA1社だけが突出した売り上げになることです。極端なことを言うと総売り上げ1億円のうち、OTA1社で半分の5千万円になってしまうと「来期より手数料を20%に上げる」と言われても断ることができません。そのようなことにならないためにも自社ホームページからの直販売を増やしていく必要があるわけです。
−「宿公式」の普及にどのように取り組んでいますか。
石橋 現在、日本旅館協会のホームページ「やど日本」には国内メタサーチの「トラベルコ」と同様のシステムを装着しています。これにより「宿公式」プランをはじめ、各OTAから会員施設へ送客できるシステムが稼働しています。
また私の所属する日本旅館協会関西支部連合会や全旅連大阪府支部のホームページにも同様のシステムが稼働する予定です。この取り組みに関しましては「トラベルコ」を運営されているオープンドア社様のご協力がありました。この紙面をお借りして御礼申しあげます。
−ありがとうございました。
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