観光は不要不急でない 日本旅館協会・北原茂樹会長に聞く(2) 宿の売上構成比見直しと「Go To」
旅行会社とともに集客
―「密」を避けるということが当たり前の時代になっていくなかで、旅館の対応は、今後どのようになっていくとお考えでしょうか。
今回の新型コロナウイルス感染症の諸々の対応で、除菌や消毒など目に見えないところにどれだけお金がかかるのか、消費者の皆様には多少なりともご理解いただいたと思います。
お客様の評価の高い旅館ほど消防、保険などにお金がかかっていますので、今回の新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに、旅館はリスク管理に相当コストをかけているということをもっと訴えていかなければなりません。
また各旅館はこれまでそれぞれ客層を絞り込んで集客をしてきたと思いますが、今回インバウンドに集中させてきた旅館が集客ゼロになったことを思うと国内客はもちろん、熟年層、若年層と幅広い客層に対応できるようにしておく必要があるように思います。
旅館の収益は宿泊が大半という中で、物販や料理・飲食にも力を入れ収益アップを図るという考えを持つべきでしょう。宿泊の売り上げが半分、料理・飲食など物販で半分といったような構成比にする必要性を感じます。こういった構成比をビジネスモデルにしていくべきではないでしょうか。インバウンドの復活にはまだ2、3年はかかりそうなので、それまでに新たな売り上げの構成比を作り上げてはどうでしょう。
―「Go To Travelキャンペーン」については、どのように捉えておられますか。
キャンペーンは日本全国が対象なので、各地域が地元の行政とタイアップしてイベントなどを行い、DMOと組んで各地がそれぞれ競い合う形になればと思っています。
宿泊施設はお客様を待っているだけではなく、JATAやANTAに加盟している旅行会社へお願いにいき、ともに魅力あるプランを作って集客しようと働きかけることも必要です。直販も大事ですが、旅行会社には地域の諸々の素材を組み込み、足をくっつけたダイナミックパッケージのようなものを作ってもらって販売してもらえたらと思います。
こういった取り組みを行う際、我々の業界は何もしないで文句ばかり言う人がいますが、業界を挙げてお客様が行きたくなる観光地であり、旅館になるべく一致団結すべきです。「Go To Travelキャンペーン」は、我々の業界が元気になる旗印として捉え、頑張るべきです。
今回のような予期せぬ出来事や天災、災害が起こっても旅行に行きたいという人々は、増えこそすれ減ることはありません。旅行は家族みんなで楽しみにしている行事と位置づけている人たちも多い。需要は根強い。だからこそ、この新型コロナウイルスに負けないで、歯を食いしばって凌いでほしい。
―先日、ある観光団体のトップが観光産業は不要不急の産業であってはならない、とおっしゃっていました。
その通りです。観光業は不要不急ではない。観光は人々にとっての生きがいであり、家族の連帯を強めるかけがいのない産業です。家族や友人、夫婦、恋人たちのコミュニケーションを図るのが我々の仕事だと自信と誇りをもって「Go To Travelキャンペーン」に臨みましょう。
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