産業観光のビジネスモデルを考える 全国産業観光推進協・シンポ(1)
産業観光のビジネスモデルを考えるシンポジウムがこのほど、東京で開かれた。ビジネスモデルを提示することで産業観光の持続と普及を目指そうとするもので、全国産業観光推進協議会が主催した。
CSRから収益事業へ
産業観光という言葉が観光業界内に定着して約10年。丁野朗・日本観光振興協会常務理事はこの10年で産業観光は企業が「無料で提供するもの」から「収益を上げる」時代に入りつつあることを経済産業省の調査をもとに解説した。
調査には産業観光に取り組んでいる事業所1810事業所が協力。「地域住民への理解促進やCSR(企業の社会貢献事業)」を目的にしたものが全体の4割を超えたが、産業観光で事業収益を上げている事業所も1割強あった。
なかでも食料品・飲料や繊維産業では3割弱が収益を得ていた。こうした産業分野では、工場見学後に施設内レストランなどでの飲食や物販が収益につながっている。
また、収益を上げている事業所では「既存の工場を見てもらう」から、「見てもらうための工場をつくる」といった発想の転換や、投資をすることによる収益の拡大に取り組む事業所も現れている。
一方で、売るべき商品がない重厚長大型企業では産業観光で収益を上げているのはわずか1%にとどまり、こうした分野で収益を上げるビジネスモデルの構築も課題として明確になった。
調査は今年3月に「地域経済波及性・持続性の高い産業観光事業の確立に向けて」のタイトルで公表されている。
→産業観光のビジネスモデルを考える 全国産業観光推進協・シンポ(2)に続く