新しい旅のスタイルは「平日1日+休日1日」 JRC・観光振興セミナー(1)
リクルート旅行ディビジョン・じゃらんリサーチセンター(JRC、沢登次彦センター長)はこのほど、大阪市北区の梅田スカイビルで「観光振興セミナー2011」を開いた。観光戦略の参考にしようと集まった自治体ら参加者に研究事例を紹介し"新しい視点"の観光振興を提言した。
時間を楽しませるスタイル 地域に提案
JRCは地域での観光開発を念頭に、研究・実験活動を展開。今回はまず、観光庁の旅行需要促進商品造成事業でもある、平日の旅行需要創出に向けたプロジェクトを紹介した。
ある調査では有休取得でしたいことの1位は「国内宿泊旅行」という結果がある。しかし昨今声高に叫ばれている"休暇改革"はなかなか進まず、旅行者は休暇を取れないのが実情だ。そこでこのプロジェクト。「休暇が取れない」旅行者と「平日に宿泊客を取り込みたい」宿泊施設双方のニーズをマッチさせて旅行需要の創出を狙おうという取り組みだ。
提唱するモデルが、土日で1泊2日の「定番」ではなく、例えば金曜に仕事の後にチェックイン、土曜日に遅めのチェックアウトと地域観光を楽しむ「平日1日+休日1日」のスタイル。
これなら土日曜が休みの人なら土曜は観光地で最大限に楽しめ、日曜は自宅で「ゆっくり」。金曜泊で宿泊料が割安、混雑回避などの利点も見込まれるほか、平日休みの人も比較的旅に出かけやすい。地域側にとっても平日在庫の有効稼働や地域内滞在時間の延長などメリットは多い。
しかし課題も多い。発表したJRC研究員の加藤史子さんは「旅行者、宿泊施設双方が定番以外の旅のスタイルに慣れていない」ことを課題に挙げる。その上で、販売面ではフラッシュマーケティングで割安感を与えて「まず体験」させ、宿泊施設では金曜泊の宿泊プランコンテストを実施し、おもてなしの工夫を結集させるという解決策を講じた。
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