神戸と海の観光を考える 海事観光立国フォーラム・須田寛さん講演
海事と観光の振興を考える「海事・観光立国フォーラムin神戸」がこのほど、神戸市内で開かれた。観光分野では井手憲文・観光庁長官が登壇(本紙7月25日号に掲載「井手観光庁長官が講演 海事・観光立国フォーラムin神戸」)したほか、JR東海の須田寛相談役が「国際観光都市・神戸の魅力」を演題に講演。ニューツーリズムの観点から「神戸と海の観光」の可能性を語った。
「海で観光を一変」
須田さんは港湾都市・神戸を念頭に、海に面する利点の一例として「ビル街も海を背景にすれば景観が美しく見える。"よそ者"はそう見ている」と評した。しかし、海を有する地域の人々はその魅力に気づいていないことが多く、もっと活用すべきだと強調した。
そして、「海」を観光の視点から論じる。海は景観や歴史文化、産業といった重要視すべき観光分野の接点に位置している存在とし「海を考えるだけでそのまちの観光が変わる」。
また、ニューツーリズムの観点から「海」を見ても「漁業、生産、運輸の第1―3次産業としての見方と、スポーツ、エコ、ヘルスなどのニューツーリズム各分野としての見方で捉えられる」と分析し、その可能性の豊かさに「海は新しい観光を見出せる素材」と期待感を示した。
最後に、神戸の観光について、現状は海や港湾資源といった神戸ならではの個性が「見えなくなってきている」と懸念を示し「観光資源をネットワーク化し、星座をつくるようにものがたりをつなげ、観光客に選択肢として示すべき」と提案。その上で「観光は文化行動であり経済行動。神戸はそれに適しており、神戸の発展には観光が大きなカギになる。マルチ都市・神戸を発信してほしい」と呼びかけた。
同フォーラムは日本海事センターとJAPAN NOW観光情報協会が共催。関西圏の海事・観光関係者ら約250人が参加した。