日本船籍のカジュアルクルーズを 日本クルーズ&フェリー学会、神戸で18年度総会・講演会(1)
日本クルーズ&フェリー学会(植田直哉会長=大阪大学教授)は11月23日、神戸港の神戸海洋博物館ホールで2018年度総会・講演会を開いた。進境著しい中国市場の動向、カジュアルスタイルの日本船籍クルーズ客船の必要性などについて意見が交わされた。
ここ5年間でクルーズ人口が年間40―70%成長し、17年には240万人と急成長を遂げた中国のクルーズマーケット。その成長を支えたのは「三世代旅行」(石原洋・みなと総研クルーズ総合研究所副所長)だという。本紙コラム「新クルーズ学」でお馴染みの池田良穂さんも「カリブ海クルーズは50年前、退職者のためのレジャーだったが、それが夫婦になり家族へ、10年前から三世代になった。中国は最初から三世代で、三世代に対応できるコンテンツがクルーズには備わっている」と話す。
一方で、中国ではこれまで旅行会社などが貸し切って販売するチャータークルーズが主流だった。「チャーターなので集客のリスクが船会社になく、ロイヤルカリビアンやコスタクルーズなどが相次いで進出し急成長してきた。ただ、チャーターによる集客で価格競争が生じプロダクトの質の低下になっている。船会社側も危機感を持ち、自主販売へ動き始めた。中国市場はここ1、2年は痛みを伴うのではないか」と石原さん。
そうした中で、港湾整備のコンサルティングを行うニュージェックの西村壮介さんは「従来は上海、天津発のクルーズが主流で、日本にはその7割が来ていた。厦門や深センを母港にするクルーズが今後もどんどん増えてくる。そうすると5日間のクルーズでは沖縄が北限になる」とし、中国発クルーズの日本寄港の減少を危惧。フライ&クルーズなどにより、中国市場を取り込む策の構築を訴えた。
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