ゼロではなく1/100に 宮沢・京大准教授、近畿運輸局のコロナ対策セミナーで講演(1)
近畿運輸局が10月30日に大阪市内で開いた「公共交通機関のコロナ感染防止対策セミナー」。新型コロナウイルスによる感染死よりも、経済的困窮による自死の増加を危惧する京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授の講演概要を紹介する。
感染死よりも“経済死”の増加に注視
獣医でもある宮沢准教授はこれまで50種類以上のウイルスを研究している「たぶん日本一」(本人談)という大家。新興ウイルスはすべて動物由来であることから、非病原性のウイルスに至るまで研究フィールドは広く深い。
その宮沢准教授がまず強調したことは「ヒトコロナウイルスNL63は11世紀に発生しました。つまり我々は平安時代からウイズコロナであり、コロナウイルスは未知ではなく既知のウイルスなのです」。だからこそ「こんなウイルスで世の中が変わってたまるか」と語を強めた。
また「新型コロナウイルスはSARSコロナウイルスに酷似しており、SARSの弱毒版と捉えていい」とし、ウイルスに感染していても発症しない人が多いことなどを挙げ「どーんと受け止めるしかない」と話した。
3月の時点で宮沢准教授が試算したところ、新型コロナによる感染死者数は累計で4千人までと予測。「言葉は悪いが、何とかなる数値」とした。ちなみに編集部調べによると11月19日現在で1955人の感染死が確認されており、2018年のインフルエンザの年間死者数3325人。その数は決して悲嘆にくれる数字ではないと言えなくもない。
その一方で、失業率と自殺者率の相関関係について言及。「失業率が1%上がると2千から4千人が亡くなります。実質GDPが20年度に14・2%下落すると14万人が死ぬという予測データもあります。コロナより経済死者の方が圧倒的に多いのです」と警鐘を鳴らした。
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