USJが攻め続ける理由(1) 森岡毅執行役員の講演から
JATA(日本旅行業協会)が2月18日に東京・六本木アカデミーヒルズで開いたJATA経営フォーラム2015の分科会で、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の業績をV字回復させた同社の森岡毅・執行役員マーケティング本部長が講演した。
V字回復の秘けつ ハリー・ポッターさえ途中経過
森岡さんは2010年に外資系の化粧品会社からUSJに請われて転職。マーケティング力を武器に、当時、年間750万人だった入場者をわずか5年で1100万人へとV字回復させた。講演から2日後の2月20日には、年間来場者数が1103万人と過去最高を記録し、メディアにも大きく報じられた。
USJの開業は2001年。初年度、アミューズメント施設としては世界最速で年間1千万人の来場者を記録したものの、その後は右肩下がりが続いていた。
過去最高の更新について、一般的には14年7月にオープンしたハリー・ポッターの新エリア効果とされるが、森岡さんは、ハリー・ポッター施設さえ途中経過の1つに位置づける。
「100万円の貯金しかないのに、10億円の買い物をしようと思えば、明確なビジョンが必要です。私はUSJをレジャーの部門でアジア最大の会社にしようと決めています」
アジア最大となれば年間3千億円以上を売り上げるTDRを追い越すことになる。当時、7百数十億円だった年間の売上を4倍、5倍に増やし3千億円を本気で超えるには、どんなステップが必要か。森岡さんの結論は関西市場だけでは不可能、関西市場以外への複数拠点を持つことだった。