USJが攻め続ける理由(2) 戦略よりも現場力
「そこから逆算していくんです。2拠点目をつくるためにはどれだけの売り上げが必要か。その売り上げを達成するために関西の外からの来場者が必要でした。飛行機に乗ってでもUSJに来たいと思わせるなにか。それがハリー・ポッターでした」
局地戦に勝ち続ける
ハリー・ポッター施設開業のための400―500億円を得るため、USJは映画専門のテーマパークから子どもや家族も楽しめる総合アミューズメントパークへと舵を切る。ユニバーサルワンダーランドを開業し、ファミリー層を取り込んだ。ハリー・ポッターの陰であまりニュースにはならないが、今月、ワンダーランドの大幅なリニューアルを終える。
明確なビジョンと戦略、計算しつくされたマーケティングの勝利に見える業績のV字回復だが、森岡さんは「どんな戦略もアイデアも、戦術的な勝利が伴わないと実らない」と言う。
「戦う前に勝つ戦略を決めておく。しかし、戦略よりも現場力が大事。局地戦に勝ち続けることが大事。私たちはアトラクションを売っているのではなく、感動を売っている。映画ではなく、感動にこだわろうとしています」
森岡さんの話はUSJを飛び越え、日本のエンターテインメント産業のあり方にも及んだ。
「世界標準から言えば、日本のテーマパークの料金は安すぎます。そのため新施設の開発ができないんです。1万円くらいが相場です。USJはライセンス料として売上の8%を支払っています。エンタメの植民地です。独自のエンターテインメントを開発できないからです。これを変えたいんです。日本発のアトラクションを米国に売りたい」
→USJが攻め続ける理由(3) 目指すは"脱・植民地"に続く