地元宿泊キャンペーン、効果に明暗(1) 求められる的確な制度設計
「Go Toキャンペーン」が8月以降のスタートにずれ込むことが確実視されている中、各自治体が地元限定の地元宿泊旅行を後押しするキャンペーン事業を独自に実施。コロナ禍で疲弊した地元の観光事業者を勇気づけている。だが一方で、自治体によって事業の制度設計が異なり観光事業者にとって悲喜こもごもの一面がみられる。石川県と鹿児島県の事例を中心に取材した。
朝6時から並ぶ客 会員店舗は大盛況
自治体が地元限定の観光を後押しする事業は、住民が近隣の旅館ホテルに宿泊する費用を補助するのがほとんど。ただ、その補助を受けるための制度設計は大きく2分されている。
一つは、地元の旅行会社を通じて旅行商品として予約を受け付けるもの。もう一つは、OTAなどオンラインに限定して受け付けるものがある。
また、宿泊予約を伴うため自治体は事務を外部に委託しているが、そこでも地元の旅行業団体や観光協会が主となっているもの、大手旅行会社やOTAに委託するものと大別できる。
住民への補助を主目的に考えると、これらに差異はないのかもしれないが、地元の税金を地元に還元するという視点で見てみると、この制度設計は事業の根幹に関わってくる。特に観光産業はすそ野が広く、雇用や波及効果は小さくなく、事業に投入する税金の使途として的確な制度設計が求められるものだろう。
そうでないと、事務委託費ですったもんだしている国のGo Toキャンペーンと同様な暗い影が射しこみかねない。
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