地元宿泊キャンペーン、効果に明暗(2) 石川県、石旅協が事業受託
朝6時から並ぶ客 会員店舗は大盛況
地元旅行会社を通じた制度設計で、宿泊施設だけの支援にとどまらない制度を導入しているのは長野県、沖縄県、石川県が代表的。
このうち石川県は「泊まって応援!県民限定宿泊割」事業を6月8日からスタート。8月末までの期間中に延べ3万人の利用を見込んでいるが、県内の旅行会社では初日から予約が殺到するなど、県ではすでに事業費の追加補正を行ったほど。
事業は、県内の旅行会社で販売する旅行商品が割引対象。宿泊施設に直接申し込むのは対象外となる。県内にはJTBや日本旅行など大手旅行会社も支店を開設しているが、事業全般の事務を受託したのは石川県旅行業協会(北敏一会長)だ。
石川県旅行業協会は、全国旅行業協会石川県支部を母体とする事業推進団体で、県内の中小旅行会社が中心。東京に本社を置く大手ではなく、地元中小の集まりが受託した理由を北会長はこう話す。
「県民宿泊割の窓口が石川県旅行業協会に委託されたのは、北陸新幹線金沢開業などで着地型旅行の商品造成など、県の観光行政に協力してきたから」
事業の構想が出始めたころには、北会長らは県の観光担当者と面談。「これまで県の取り組み協力してきた。県が認可している中小旅行会社で組織する我々協会にぜひ委託してほしい」と訴えた。
その後、6月3日に石川県の谷本正憲知事のゴーサインが出て、8日にスタート。現在122社の旅行会社が販売を行い、そのうち同協会の会員は66社を占める。122の中にはJTBなど大手旅行会社も加わっている。
北会長によると、会員の店舗では10時の開店段階で30人の行列ができたり、10時の開店なのに朝6時から並ぶ人もいるという。「これまで我々の店舗は閑古鳥が鳴いていたが、宿泊割の販売以降てんてこ舞いの忙しさ」とうれしい悲鳴をあげるほどだと話す。
北会長は「日ごろから県観光へ協力し、コミュニケーションを密に図ってきたことが事業委託という成果に表れた。この賑わいをGo Toトラベルキャンペーンにつないでいきたい」と意気込んでいる。
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