食の観光ルート構築 大起水産グループ(1) 生産地と消費地を結ぶ
「街のみなと」から全国の漁港へ
毎月第1日曜日、大阪・天満橋の八軒家浜は朝早くから多くの人で賑わう。お目当ては新鮮な生マグロ。調理人が鮮やかな包丁さばきでマグロを解体していく。赤身やトロが刺身、寿司となってショーケースにずらりと陳列され、次々に売れていく―。
大起水産(本社・大阪府堺市)の「八軒家浜まぐろスタジアム」。大川を眺めながら、マグロをはじめ全国から直送された天然魚を多彩なメニューで味わえる人気店だ。この店の人気イベントが「天下の台所 八軒家浜市」。購入したばかりのマグロを店内で食べる人も多く、毎月必ず訪れるというファンも少なくない。
大起水産は京阪神を中心に、寿司をはじめ水産物を扱う「街のみなと」と回転寿司店など約40店舗を展開している。創業者の佐伯保信・現代表取締役会長が1975年に堺中央卸売市場内に塩干類卸売業として立ち上げた。
青物の魚が主流だった関西で、佐伯会長が目をつけたのがマグロ。しかも店裏で作業として解体していたマグロを客前で見せることを思いついた。「マグロの解体をやっているもんだから、車が減速して興味深そうに見るんです。店の前の道路が渋滞になったほど。60坪の店で10億円を売り上げていました」と、佐伯会長は述懐する。
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