二重拠点生活を提案 兵庫・丹波篠山市、コロナ期の新しい旅スタイルに(1)
2020年も、残すところあと1カ月あまり。新型コロナウイルスに右往左往させられた一年だったが、リモートワークやワーケーションが一般に知られるようになるなど、働き方や生活様式が一気に変わった観がある。兵庫県丹波篠山市ではコロナ禍のなか、新しい旅のカタチ「お試し版 二拠点生活」を始めた。ゲストハウス「うめたんFUJI」代表の梅谷美知子さんに、その一部を案内してもらった。
地域の日常にふれるモニターツアー実施
丹波篠山市では「観光以上移住未満」をコンセプトにした、4泊5日のお試し版 二拠点生活体験モニターを募集している。「城下町プラン」または「農村プラン」を選択し、滞在期間中の宿泊代、レンタカー代が無料になるほか、宿泊先は指定の5カ所から選べる。
一般的な観光ツアーと異なるのは、地元の人と関わる体験が中心であること。例えば、移住してきた就農者のもとで農作業をしたり、昭和初期の劇場を改築したスペシャルティコーヒー専門店でアルバイトのような体験をする。食材の買い出しのため朝採れ野菜を販売する青果店に同行する−など、丹波篠山ではごくあたりまえの日常にふれられるコンテンツが行程に組まれている。
また、自然の美しさを体感したい人向けに、冬の早朝にしか見られない「丹波霧の見学ツアー」をオプションで用意。滞在中にリモートワークをしたい場合には、用意されているコンテンツに参加しなくてもいい自由度も備えている。
お試し版 二拠点生活は、観光庁「誘客多角化等のための魅力的な滞在コンテンツ造成」実証事業に採択された株式会社NOTEの「丹波篠山まるごとミュージアム」の一部。事業は、NOTEとともに、一般社団法人ウイズささやま、丹波篠山市役所、丹波篠山観光協会、丹波篠山市商工会が協働する。
プロジェクトメンバーでもある梅谷さんによると、お試し版 二拠点生活の背景には他の地方都市と同様に人口減少、農業従事者の高齢化、空き家の増加、若者の転出などの問題を抱えていたことにある。
観光客数は、今年10月の城下町地区の来訪者は過去最多の約58万人を記録しているが、城崎温泉(豊岡市)や有馬温泉(神戸市)に向かう前の立ち寄り利用が多く、観光客の増加が地域経済全般に波及していないことが課題だ。
一方、移住者数については2017年が37人、18年68人、19年70人と増加傾向で、20年は9月末時点で68人と前年を上回りそうな勢い。新規就農者数も微増し、生産年齢の転入増加に期待が寄せられているところだ。
(旅した人:サガワミユキ)
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