バスツアー商品化を提案 サンスターライン・旅行会社向けモニター(1) わかやま12湯編・温泉と観光素材で新たな切り口
サンスターライン(本社・大阪市)は、関西の中小旅行会社を主対象としたモニターツアーを実施した。観光庁の「交通連携」事業として助成を受けて行ったもので、旅行目的地を奈良県と和歌山県とし、ウイズコロナ・アフターコロナ期に持続可能なバスツアーを提案。ワクチン・検査パッケージに準じるとともに、立ち寄った施設はもちろん、除菌対策バスを使用して万全の対策で催行した。
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和歌山県へのツアーは2月7―8日、14―15日の2回、「わかやま12湯WOKバス 旅館若女将の案内で南紀白浜温泉プチ湯治体験」として1泊2日で実施した。
良質な温泉が点在しているものの、和歌山県には「温泉」というイメージが乏しいため、そのイメージアップと既存の観光素材を結びつけることで、地域の活性化と旅行会社の収益源につながる新たな商品造成を促す目的で行われた。出発地から旅館女将がバスに乗り込み、車中で温泉をアピールしたこともツアーの特色だ。
日本庭園のある酒蔵として知られる海南市の酒造会社・中野BCや、明治30年から地域伝承の紀州梅を作り続け北京五輪のカーリング日本代表の“もぐもぐタイム”で話題になった田辺市の中田食品、白浜町で注目を集めるワーケーション施設・白浜町第2ITビジネスオフィス、宿泊滞在施設で農家レストランも運営する田辺市の秋津野ガルテン、大阪府阪南市の青木松風庵月化粧ファクトリーの工場見学をコースに入れた。
和歌山観光の定番である御坊市の道成寺は、院主の小野俊成さんが独特な語り口で行う安珍清姫物語の「絵とき説法」が現代にも通ずる内容で古さを感じさせず好評。
田辺市の鬪鶏神社は、今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」との関係も深いタイムリーな素材として組み入れた。神社に由来する平家物語の源平合戦の鶏合わせの故事は、武蔵坊弁慶の父と伝わる熊野別当の湛増が壇ノ浦の戦いで平家か源氏、どちらに味方をするのか紅白の鶏を戦わせて神意を図ったというもの。白(源氏)が勝ったため源氏に加勢し、合戦の勝敗が決したと伝わる。
昼食にもこだわった。道成寺門前の「あんちん」は団体中心だったが、地元の食材にこだわった料理を提供する別邸として15年にオープンした「石蔵」は地元客が多く旅行会社の利用は少なかった。邸内の天井画や襖絵、器などは京都の絵付師によるもので欄間やテーブル、椅子も手づくりという店構えは個人・グループに使いやすい。
今回のツアーでは「わかやま12湯」と銘打ちながら南紀白浜温泉のみが対象だったものの、宿泊先のSHIRAHAMA KEY TERRACE SEAMOREを通じてわかやま12湯を認知してもらい、その後に順次、他温泉も知ってもらうというねらい。同時に既存施設の利用方法を変えることや新たな素材を加えることで、和歌山への温泉宿泊型商品造成につなげることができれば、ツアーの目的を果たすことになる。
参加した旅行会社からは「12湯として和歌山全体の温泉をアピールするのはいいことだと思います。ただ、どこにどれだけ温泉があるのかわからないので、まとめた情報があるとお客様を送りやすい」といった声があがっていた。
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