バスツアー商品化を提案 サンスターライン・旅行会社向けモニター(2) 奈良中南和地域編・聖徳太子、日本酒発祥がテーマ
奈良県への新たな切り口で企画した日帰りツアーは3つ。
「着物で旅する名刹」として、桜井市の長谷寺や安倍文殊院を訪ねる「和装の旅」のツアーは既報(1月1日号)したが、いずれも奈良県中部の中南和地域を目的地とした「聖徳太子をたどる」(2月14日実施)と「日本酒発祥の酒蔵探訪」(2月18日)も実施した。後者の2ツアーは、奈良まほろばソムリエの雑賀耕三郎さんが全行程を同行。奈良市内に偏重する奈良観光に、中南和の魅力をわかりやすく伝える雑賀さんの案内と明確なテーマ性によって新たな「観光動線」をつくることを目的とした。
聖徳太子をたどるでは、21年に迎えた聖徳太子1400年御遠忌にちなみ、聖徳太子御廟所がある大阪府太子町にある叡福寺、太子生誕の地として伝わる奈良県明日香村の橘寺、日本で初めて世界文化遺産に登録された斑鳩町の法隆寺を周遊。
雑賀さんは、初心者には分かりづらいこの時代の人間関係の相関図を参加者に配って説明。訪問先を身近に感じ、時代背景が理解できるようなナビゲート。加えて、講談師の旭堂南龍さんも同行。昼食場所のTHE KASHIHARAで、聖徳太子誕生から亡くなるまでの一生を講談「聖徳太子ものがたり」として30分に語った。21年に文化庁芸術祭大衆芸能部門新人賞を受賞している南龍さんの話術で、笑いを交えながら聖徳太子の足跡をたどる内容だった。
参加した旅行会社からは「幾度か法隆寺にはお客様をお連れしているが、聖徳太子にテーマを絞ったツアーはユニークで興味を持ちました」「案内する方次第でツアーの内容がここまで変わるんだなということを実感しました。こういったツアーは個人ではできないので、我々旅行会社がすべきだと思いました」と感想を述べていた。
日本酒探訪は、清酒発祥に関わる中南和地域の酒文化がテーマ。地酒の試飲もあり、個人が自家用車では回りにくいことから、バスツアーならではのコースだ。
日本清酒発祥の地である奈良市の正暦寺(しょうりゃくじ)、酒の神である大物主命を祀る拝殿、杜氏が信仰する活日(いくひ)神社がある大神神社、創業360年の今西酒造や喜多酒造を訪ねた。重要伝統的建造物群保存地区の橿原市今井町にも立ち寄り、生活を営みながら酒文化が根付く姿を感じさせた。
このツアーで雑賀さんは、古代の酒造りから酒と寺に関する歴史などを徹底的に調べ上げた。事前に大阪府河内長野市の天野酒まで訪れ、酒の醸造方法、歴史についても聞き、まとめた資料を参加者に配布。資料をもとに行う徹底したガイドぶりに参加した旅行会社から「奈良とお酒の歴史がここまで深いとは」「今井町も初めて訪れましたが、他のまち並み観光を勧めるよりもこれからは今井町をと思いました」と高評価だった。
サンスターラインの担当者も「今回のツアーで旅行会社の方々に中南和がいかに魅力ある素材が点在しているエリアかを知っていただけるきっかけになったと思います。中南和のツアーが1本でも多く造成されることが楽しみです」と期待を寄せていた。
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