里山の暮らしを感じるまち―移住定住促す 鳥取県智頭町(1)
鳥取県東南部に位置する智頭町。町面積の93%が森林で、そのほとんどを杉が占める「杉のまち」として知られる。古くから因幡街道と備前街道が交差する交通の要衝で、人の往来が盛んだった。今、豊かな自然をバックボーンに、百人委員会という住民自治を推進するとともに移住定住を促し、人の往来を復活させる持続的なまちづくりが全国から注目を集めている。
先駆者の店や森のようちえん
智頭町の人口は約6600人。移住定住の動きは2021年に智頭町総合案内所をリニューアルし、移住定住相談窓口を役場から案内所に移設したことでより本格化。移住定住後のフォローや住民・観光客・移住者の交流が生まれる場として、新たな暮らしに寄り添える機能を充実させた。
移住サポートサイト「ちづ暮らし」も開設。移住に関する住まいや暮らしの情報を掲載しているほか、移住前に「おためし住宅」や「民泊」で暮らしを事前体験できるプランなども用意した。物件情報は「空家・土地情報バンク」を町が管理。物件・土地情報の閲覧ができるほか、住宅支援や生活応援、起業支援に関する補助金制度を数多く設け、移住しやすいようサポートしている。
移住先駆者が始めた店も数多くオープンしている。里山に佇む「自家製天然酵母パン&クラフトビール&カフェ タルマーリー」は、県内外からの来訪者が多い有名店。旧保育園を改装した店内で、野生の菌や天然酵母の力により発酵させたパンやクラフトビールを販売提供、地元素材を使ったピザやサンドイッチ、自然栽培のコーヒーとスイーツなども味わえる。
IターンやUターンした住民から「豊かな自然と人の温かさがあり、自分らしく居られる場所」「誰かがつながり、何かが生まれる『場』づくりができるところ」といった声が寄せられている。
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