海の京都に移住した若者たち 伝統産業を次代に紡ぐ―コウジュササキ・佐々木貴昭さん(2)/短期連載シリーズ
来訪者と関わることに喜び
一方で、帰郷して地域や人を改めて知ろうと、近所付き合いを積極的にしている。会社が重要伝統的建造物群保存地区にあるため「ちりめん街道を守り育てる会」に入り、地域活性化の活動に加わった。地域での人脈を広げていることから海の京都観光地域づくりマネジャーのほか、近年は日本遺産「300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊」認定時の座長となっている。
会社と通りをはさんで向かいに、ちりめん街道を代表する旧尾藤家住宅があることから、ちりめんのショールームとして訪問者を迎え、希望者には工場見学や織物を購入できる事業所を紹介するなど、できるところから始めていた。いわゆる「産業観光」をしても直接的に販売が増えるわけでなく、作業の手を止めてまで対応することを望まない事業者は多いが、消費者の声を直接聞くことで創作意欲が湧いたり、メディアで紹介されることで販路が広がるようになったりと少しずつ理解者が増えているようだ。
佐々木さんは来訪者の見学希望内容を聞き取り、織物会社とのスケジュール調整を行い、工場見学を案内するだけにとどまらず、時間の許す限り観光案内や食事場所まで紹介している。そうすることにより、のちのちまで付き合いが続き、なかには気に入って移住した人まで出ている。外部の人と関わることを心底楽しんですらいる。
また、彼は地域の小学校への出前授業で丹後ちりめんを子どもたちに知ってもらう活動もしている。人口が急激に減少する町の現状を目の当たりにして、この町を誇りに思い住み続ける子どもを育てることが地場産業の継続発展にもつながると語っている。
YouTubeで、シーラ・クリフさんとの対談を通して洋装のニットから和装に戻り、奮闘中の佐々木さんの姿を垣間見ることができる。
「丹後織物の未来について語る」♯4。URLは、https://youtu.be/-wvwLRpdP1g
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