観光客の行動実態を可視化 ソフトバンクとパシフィックコンサルタンツが開発「全国うごき統計」(1)
建設コンサルタントの大手パシフィックコンサルタンツがソフトバンクと共同で「全国うごき統計~観光分析パッケージ」を開発、ソフトバンクから提供されている。ソフトバンクの携帯電話基地局をベースとした人流統計をビッグデータ処理技術によって活用し、旅行者の周遊や滞在のパターンを分析できるというもの。旅行者のニーズや動向に即した観光施策を検討・実施することや、観光プロモーションなどの効果検証も行えることから、自治体の観光行政やDMO、観光事業者に導入を呼びかけている。
ビックデータによる来訪者分析 誘客施策やプロモーションに活用
全国うごき統計は、ソフトバンクの携帯電話基地局を基に24時間365日、日本全国の人の動きを把握できるというもの。このうち観光分析パッケージでは大きく①来訪者数分析②滞在時間分析③宿泊日数分析④周遊動態分析と4つがセットされている。
来訪者数分析では、日別や時間帯の来訪者数はもちろん、来訪者の性別・年代、居住地別といった属性が把握できる。また、出発地から目的地までの経路を飛行機・新幹線・鉄道・高速道路・一般道などに分けて分析することも可能だ。
滞在時間分析は滞在時間別の来訪者の属性も含めて把握でき、宿泊日数分析では来訪者の宿泊状況を可視化できる。宿泊・滞在の季節波動を把握することによって閑散期対策などを講じ、来訪者数の平準化を図る施策の立案につなげられる。
さらに、周遊動態分析では、来訪者の前後の動きがわかり、周遊パターンを解析、周遊商品づくりやプロモーション計画に反映することができる。
導入にあたっては、最大10カ所のゾーン(最大4×4㌔メートル=メッシュ単位500㍍)を設定。鉄道駅を中心としたゾーン、宿泊施設が集積しているゾーン、寺社仏閣や公園、レジャー施設といった地域資源のゾーンなどに分け、来訪者の行動パターンを把握する。
例えば、エリア内の繁華街、海岸、寺院それぞれをA、B、Cゾーン設定(図1)。海岸エリアの来訪者の動きを知るため、最新の夏休みシーズンの8月に時期をセットする。そうすることによって海水浴、マリンレジャーを宿目的とした来訪者がエリア内でどのくらい滞在し宿泊しているのか、周遊などエリア内でどんな行動をしているのかを可視化できる。
加えて、当該ゾーンへの来訪手段・経路を知ることによって、プロモーションに効果がある場所や媒体、例えば電車内広告や高速道路沿いの野外看板を明確化することができる。
観光分析パッケージの導入にあたっては、分析レポートはすべてソフトバンクが提供し、仮に今年7月に導入しても2019年10月以降の過去データも分析可能だ。より詳しい分析を行いたい場合は各種オプションを付加することでエリア内の来訪者像を明確に示せるという。
パシフィックコンサルタンツでは「ビックデータの分析に労力をかけることなく、来訪者の動向を把握することが可能です。自社の営業活動範囲だけでなく、市場全体を見渡すことで、集客力の高いプロモーションやパッケージプランの開発などに取り組んでみてはいかがでしょうか」と導入を勧めている。
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