観光客の行動実態を可視化 ソフトバンクとパシフィックコンサルタンツが開発「全国うごき統計」(2)
データに基づく施策、商品化が実現 観光行政や事業者、DMOに導入促す
【活用案1=着地型観光企画をつくる】 例えば、週末に偏重していると思い込んでいた来訪者が、実は平日にも都市圏から来訪し宿泊している実態が発見できたとする。さらに属性を分析してみると、20―30歳代の移動が多いと分かりワーケーションの地域として選ばれていたことがわかる。この場合、平日限定で都市圏からの交通チケット付きプランを打ち出せば特別な投資は必要なく、平日の来訪者増による観光消費の増大、来訪時期の平準化につなげられる。人流データを使って観光客の来訪・周遊状況を知ることができれば、顧客にニーズにマッチした商品化が可能になり、データを根拠とした企画から実際の販売までをスムーズに行うことができる。
県外からの来訪者は駅周辺で観光が完結している一方、少し離れた観光地や繁華街を訪れているのは自家用車で移動する近郊居住者に限られていた。観光分析パッケージによって、その状況を把握できれば、レンタカーをセットしたパッケージ商品化することで、周遊を伴う観光圏域の拡大や宿泊者数の増加につなげられる(図2)。
【活用案2=エリア内の周遊を促す】 旅行者の旅行目的や移動手段が変わっていく中で、観光消費を促進するためには全体の動きを把握し誘客につながる動線を明確化することが求められる。観光コンテンツ単体に注力するのではなくエリア内の周遊を促すためには全体の動きを把握する必要がある。
愛知県では、2年前オープンした大規模テーマパークによって、既存の有力観光コンテンツの名古屋港水族館や熱田神宮とテーマパークの間の移動は2倍以上の増加を示した。一方で、熱田神宮と名古屋港水族館の行き来は微減していることが分かる(図3)。また、内訳をより詳しく見てみると、テーマパーク開業後、名古屋港水族館では女性の短時間滞在利用者が3割も増加していた。つまり、テーマパークの開園に伴い、特定の属性でエリア内のトレードオフが発生している状態と言える。開園から2年あまりが経過しテーマパークへリピーターの集客が注目されているが、もう一度訪問したいと思われるためにはエリア全体で魅力的な集客施策を考え、宿泊施設の増設など地域全体の観光施策を最適化することが求められる。
このように、データを使って顧客の行動実態を知ることで「消費者が求めているであろう」ではなく、「消費者が本当に求めている」商品を提供することが実現できる。データに基づいたマーケットインの発想、商品化が観光分析パッケージによって可能になる。
全国うごき統計~観光分析パッケージに関する問い合わせは電話03―6777―3001まで。
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