大阪兵庫連携で万博契機に広域観光圏―クルーズ観光を企画(1) 海上ルートを新たな関西観光の魅力に
2025年4月、いよいよ大阪・関西万国博覧会(以下、万博)が開催される。会場は大阪湾にある人工島「夢洲(ゆめしま)」ということもあり、大阪府と兵庫県が連携し、「大阪・関西万博を見据えた舟運ルートの発掘・創出事業」に取り組んでいる。その一環として、万博期間中大阪~神戸間の海上クルーズを企画した。今秋マスコミや関係者を集め試乗会を実施し、2025年1月には一般向けのモニタークルーズを開催する。
関西地区において、万博は1970年の日本万国博覧会、1990年の花と緑の博覧会に続く3回目。景気浮揚やインフラ整備などといった万博の基本的な目的をはじめ、今回は観光立国を目指す我が国における関西観光の魅力を世界へ発信するという大きな役割を担う。その意味で海上ルートは万博会場までのアクセスだけでなく、人工島である会場を起点として、兵庫と大阪を繋ぐ広域観光を形成するきっかけとしたいようだ。
モニタークルーズの催行日は1月18日。日本最大のレストランクルーズ船「Luminous KOBE-2(ルミナス神戸)」に乗船し、神戸港から大阪港までのデイクルーズと、大阪港から神戸港までのナイトクルーズの2コースがある。料金は各コース共通で大人・子供同額の1名2800円。各コース最少催行人員は50名。受付締め切りは1月7日。
申し込み先はhttps://va.apollon.nta.co.jp/ship2025/。
今秋開催された試乗会では、「神戸メリケンパークオリエンタルホテル」(神戸市)が入居する建物の2階の中突堤旅客ターミナルから、レストランクルーズ船「ルミナス神戸」に乗船。大阪港までランチタイムも含め約2時間の船旅を楽しんだ。あいにくの雨模様だったが、大阪港に近づくにつれて万博会場の姿が現れてきて、会場の特徴である“リング”が遠目でも壮大な建造物だということがよくわかった。
船内では、大阪ブランドの製品を展示し、大阪をアピール。万博の公式キャラクター「みゃくみゃく」、大阪府広報担当副知事「もずやん」も登場し、万博ムードを盛り上げていた。
さらに夢洲の隣接地にある舞洲のさきしまコスモスタワーの最上階の展望台から会場を一望。海に浮かぶ人工島が着々と工事が進み、パビリオンが姿を現し、いよいよ開幕までに拍車がかかるという状況が見てとれる。
展望台には夜も入場でき、カップル席もあるし、カフェもある。階下には「さきしまコスモスタワーホテル」(大阪市住之江区)、周辺にはインテック大阪や「グランドプリンスホテル大阪ベイ」(大阪市住之江区)、「星野リゾート リゾナーレ大阪」(同)などのホテルや物販、飲食施設などの複合施設もあり、大阪ベイエリアにおける観光スポットである。
夢洲へは昨年8月、日本国際博覧会協会が海上ルートを発表。発着地は①神戸港・神戸空港方面、②淡路島方面、③大阪市中心部、④淀川本川、⑤堺市の旧堺港の5か所で、1日29便運航する予定。夢洲には桟橋を3か所設けるとのこと。夢洲発着で大阪遊覧のコースも設定しており、大阪観光の楽しみが増えそうだ。それにしても海から万博会場に入るとは、珍しい体験ではないだろうか。
このほか水都・大阪と言われているだけに、大阪の船上ルートは多彩だ。繁華街を船上から見る道頓堀クルーズの道頓堀エリア、造幣局の桜などが楽しめる大川エリア、大阪城を望む大阪城エリア、大阪のビジネスの中心である中之島エリアなど、さまざまな大阪の姿を船上から望むことができる。しかもグループや会社といった団体でチャーターできる船、食事が楽しめる屋形船やレストラン船など目的や人数に応じて対応できる。
(井村日登美)
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