大阪兵庫連携で万博契機に広域観光圏―クルーズ観光を企画(2) 兵庫県発祥を遊んで学ぶデジタル博物館
一方、兵庫県では万博に出店し、しかもフィールドパビリオンとして県全体で県の魅力を発信する。2年前には神戸市兵庫区に「兵庫県立兵庫津ミュージアム」をグランドオープン。同地は兵庫県の発祥地で、北前船の寄港地として日本遺産にも認定されている。ミュージアムは博物館施設「ひょうごはじまり館」と、最初の兵庫県庁の復元施設「初代県庁館」の2館で構成されている。
「ひょうごはじまり館」のエントランスを入ると天井に北前船が吊り下がり、床には幕末の〝兵庫津〟(神戸港)の鳥瞰図が描かれている。内部は4つのゾーンに分かれて兵庫の成り立ちが時系列でわかりやすく、そして楽しく表現されている。デジタル化を導入し、手をかざせば絵が動き出すハンズオン展示や、摂津名所の1つと言われた「兵庫生洲(いけす)」をCG画像で再現し、“いけす”から魚を捕まえるというゲーム仕立ての展示を楽しめる。また、ひょうごダイナミックシアターではミュージカル仕立てのドラマ(約20分)を上映し、兵庫の成り立ちを楽しみながらわかるようになっている。
フロアには県の特産品を紹介するコーナーがあり、触ったりゲーム仕様になっていたり、大人も子供も一緒に遊んで学べる博物館なのである。あっという間に時間が過ぎるほどだ。
同館から歩いてすぐの場所にある「ひょうごはじまり館」は重厚な日本家屋の建物で、初代県庁舎を絵図に基づき再現した。知事執務室、ボランティアで作庭したという「蓬莱式日本庭園」、仮牢、お白州などがある。そして、バーチャルVISITで当時の県庁舎で繰り広げられた幕末維新のドラマを再現。MR(複合現実)で、1868年の県庁が始まった年に訪れて、幕府最期の兵庫奉行・柴田剛中、兵庫津の豪商・北風正造、そして県庁の主役、初代兵庫県知事・伊藤俊介(博文)たちと出会うという、当時の時代にタイムスリップしたような体験ができる。
楽しんだ後は一息つける「兵庫津ミュージアムカフェ」がある。カフェでは1923年、大正浪漫が華開いた港町「神戸」でコーヒー・紅茶の専門卸問屋として創業したエキストラ珈琲(神戸市)が提供する限定メニュー、抹茶のように点てるラテが特徴の「珈琲膳」と「紅茶膳」が人気の一品になっている。
入場料金は大人1人300円。県立だから良心的であり、大人も子供も楽しめるミュージアムといえよう。
(井村日登美)
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