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金融機関と上手に付き合うために シリーズ「旅館ホテルの事業再生」(2-2) リアルエージェントは重要

では、実際にどのように収益を改善させていくべきでしょうか。顧客満足度の向上を図っていくのも当然必要ですが、それ以上に装置産業である以上、損益分岐を超える売上を確保することが重要です。

それには、時代のニーズに合わせた戦略をとっていく必要があります。昔はパンフレットをリアルエージェントや総合案内所に送れば、送客してくれた時代もありました。それがOTAをはじめとしたウェブ集客に変遷していきました、ただ、すべてが変革してしまったわけではありません。よく、これからはウェブの時代だからと、今までお世話になったリアルエージェントや、総合案内所をないがしろにするケースを間々見受けますが、それは違うと思います。

もちろん、売上の中心はOTAに変わったかもしれませんが、私はバランスが重要だと考えています。様々な顧客層があり、様々なニーズがあります。大手チェーンはそれで良いかもしれませんが、広く顧客を受け入れようとすると、例えば地方にまだまだ残る地域の団体旅行などへのアプローチには、やはりリアルエージェントとの付き合いが重要です。

また、コロナ禍の終えん後はやはり、インバウンドへと回帰していくと思います。コロナ禍となる以前、海外インバウンドに対する積極的な施策が講じられてきたように、我が国は少子高齢化が現実的である以上、内需だけでの需要喚起は限界があり、外から観光客を呼び込むインバウンド施策は非常に重要です。また国の施策としても中長期的にはさらなるビザの緩和など、海外の旅行者を呼び込む動きは加速していくと思われます。

しかし、インバウンドへの対応も単なる受け身では、悪条件の問い合わせばかりとなってしまいます。かつての団体客主流の時代のように、海外に営業所を置いて、専任の営業マンがいるか否かでは大きな差となるのは必須であると思われます。

しかしながら、中小の宿泊業者では、社長自身が営業も、接客も、という会社が少なくありません。またもや大手と差がついていってしまうのでしょうか。このまま大手への寡占化が進んでいくのは我が国のおもてなし文化保持の観点からも避けなければならないと私は考えております。

私は、各地の画一的でない宿泊業の素晴らしさこそが、世界に誇れるおもてなしの原点であり、後世まで守り続けなければならない重要な財産であると思っております。

ただし、競争環境の激化は避けては通ることができず、中小、零細が単独で経営を続けていくのは厳しい局面が出てくるかもしれません。そのような際に、M&Aによる会社の譲渡が多く利用され、また昨今ではM&A市場が活況を呈しています。

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