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公的制度を生かし「事業承継」 シリーズ「旅館ホテルの事業再生」(3-1) 後継者問題による廃業を防ぐ

トラベルニュース社では、コロナ禍で厳しい経営環境に見舞われている観光業界の苦境を脱するため、事業再生の専門家とチームを結成しました。今後ウェビナーやセミナーを開催していくほか、個別相談会なども行っていく予定です。今回は、株式会社ティグレ業務部副部長の坂本健一郎さん、税理士法人ティグレパートナーズ税理士の川口司郎さんに「事業承継」をテーマにご寄稿いただきました。

現在事業をされている方の中で、将来どのように事業を継続していくのか、また、自分がいつまでこの事業に関わっていけるのか、将来のライフプランをどうすれば良いかなどといったことをお考えの方には、関心の高い・興味深いテーマかなと思います。

この機会に知識や情報を収集して、どういったところがポイントになっていくのか、どんな公的制度があるのかといったところをご紹介させていただき少しでも皆様のヒントになれば幸いです。

事業承継と一言でいっても十人十色で個別に様々です。

現在のコロナ禍では、特に、飲食業・観光業・運送関係などはかなり厳しい状況です。ウイズコロナ・ポストコロナという環境下で、どう事業を継続していくのか、雇用をどうやって守っていくのかを考えていかなければいけない事業者様も頭を悩ましているところかと思います。

ここ数年で、事業承継やM&Aでの公的制度も多くなってきています。

もともと「2025年問題」ということがあり、耳にされたこともあろうかと思います。2015年から話が出ており、25年までに70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人で、そのうち約半数の127万人(日本企業全体の約3割)が後継者未定です。

では、そういった環境下でいったいどうしていくのか? 何も対策をしなければ廃業していく可能性が高いと考えられています。そうなると、25年までの10年間累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があると言われています。

そうならないように、事業承継やM&Aの支援に力を入れていかなければならないということで、2015年から国の中小・小規模企業に向けての施策や、公的制度が施行されています。

中小企業庁の統計やデータから、売上1億円以下の事業者は、日本の中小企業者のどれくらいの割合を占めるかと言うと82%を占めています。そうした中で、国は「成長戦略実行計画」(令和2年12月1日決定)の中小企業向けの経済支援において次の通り明記しています。

第7章 足腰の強い中小企業の構築

略…ポストコロナを見据え、中小企業の経営基盤を強化する事で、中小企業から中堅企業に成長し、海外で競争できる企業を増やしていく事が重要である。

あわせて地域の経済や雇用を支える小規模事業者が持続的に発展する事は重要である。このため中小企業の経営資源の集約化による事業の再構築やデジタル化など、中小企業の生産性を向上させ、その足腰を強くする仕組みを構築し、創意工夫をする企業を応援していく。(成長戦略実行計画より一部抜粋)

そういう中で、後継者問題に悩まされている企業が黒字廃業することなく、価値ある事業を続けていく、良いノウハウは終わらせずに残していく、終わらせないといったところが様々な公的制度利用のポイントとなってきます。

ティグレ業務部副部長坂本健一郎さん

坂本 健一郎さん
ティグレ業務部副部長

(次の記事)公的制度を生かし「事業承継」 シリーズ「旅館ホテルの事業再生」(3-2) 優遇税制や補助金を活用する

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