公的制度を生かし「事業承継」 シリーズ「旅館ホテルの事業再生」(3-2) 優遇税制や補助金を活用する
では、どのような制度があるのかといったところですが、どこに聞けば良いのか、誰に聞けば良いかわからないという方も多くいらっしゃると思います。
弊ティグレグループも認定経営革新等支援機関として、優遇税制支援・補助金支援・財務支援を多数行ってきております。例えば、経営のパスポートとも言われている「経営力向上計画」といった国の認定を得ることで、様々な優遇税制等を受けることができます。認定企業数としては10万9463社で中小企業全体の2・88%(令和2年8月末時点)が認定を受けておりますが、まだまだ認知度は低いですね。
優遇税制としましては、
▽中小企業経営強化税制(即時償却・税額控除)の活用
▽所得拡大税制の上乗せ措置の活用
▽M&A時の各種優遇税制の利用措置
また金融支援としましては、
▽政府系金融機関の制度融資の活用(新事業活動促進資金)
▽信用保証協会による保証枠拡大(別枠)
さらには、補助金の申請時における加点(小規模事業者持続化補助金・事業承継補助金)といったメリットがあります。
そのほか、事業承継・M&Aの補助金の活用としましては、次のようなものがあります。
▽事業承継引継ぎ補助金=(1)M&A時の専門家活用へ一部経費の補助金(2)事業承継・引継ぎ後の新たな取り組みへの補助金
▽事業再構築補助金=新分野展開や業態転換、事業・業態転換、事業再編またはこれらの取り組みを通じた規模の拡大等を目指す、一定の要件を満たす企業への新たな挑戦を補助…というものです。
当然、補助金ですから、申請をしてから審査があり採択されるのですが、前年の事業承継引継ぎ補助金については、649件の申請に対して468件の採択があり、採択率は72・1%と高い採択率を維持しています。ただ、申請件数が少なく、あまり知られていないというのが現状です。
事業承継について、後継者は決まっているけれども、自社株を移動することによって、資金面での問題があるということで、事業承継を断念するあるいは円滑に進められていないといった話を多く聞くことがあります。
そういったケースにおいても、事業承継特例税制を活用する、あるいは活用しなくてもその他の様々なスキームを活用することで、事業承継が速やかに行えるように支援を行っております。
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