若い子には"地旅"をさせろ(2) 地域づくりの有効手段
池田 私が提唱してきた地旅とは旅行市場の拡大、地域の活性化が目的です。旅行会社目線ではなくお客様目線で商品を造成しなければ魅力ある旅行を提供できなくなってきたことと、我々中小旅行会社は一生が地域住民であるということが原点です。
つまり、地域に対して旅行業を通じて恩返しをし、地域の皆さんと一緒に着地型旅行商品を造ることが地域の誇りになり、魅力的な商品になるということです。
いま私どものメンバーのうち、全国で150社が地旅商品の造成に努力しています。47都道府県に3―4社の割合になります。地旅サイトには約300コースが掲出され、フェイスブックを常に見てくれている人が2万人います。地旅商品が流通しつつあるという手ごたえを得ています。
ただ、依然として着地型旅行は儲からないという話も聞きます。そうではなくて、やらないから儲からないんです。地域の旅行会社として地域に貢献するという気持ちで取り組むことが結果的に儲かることにつながるのだと考えています。
社会が要請する旅行業 宮内・東海大学教授
宮内 観光産業は時代時代に非常に重要な役割を果たしてきました。その中でも旅行業は中核をなし、今日の社会が旅行業に要請しているものは非常に大きいと思います。地域における観光に関しては池田社長が着地型観光を提唱される以前は、ほとんど旅行会社の姿を見ることはなく、このことが観光による地域振興が十分な成果をあげられなかった理由となっていました。だからこそ旅行業の大きな役割が地域にあるのではないでしょうか。
地域の観光の問題点はマーケティングと流通が十分に機能していないことです。その点、ANTA会員は全国にネットワークがあり、しかも地域に密着している。地域活性化でたいへん重要な役割を果たす素地があります。まさにそれが、着地型観光であり地旅です。
地旅の大きな特色は流通です。各地域における旅行会社が商品を造り、それをANTA会員の中で販売していく。地域のマーケティングも旅行会社が入ることではじめて有効になり、商品の安定的な供給も可能になる。地旅によりそういう新しい構図ができます。旅行会社は新しい旅行業の役割として地旅、着地型観光を担っていくことが求められています。
→若い子には"地旅"をさせろ(3) 地域貢献が後継育てるに続く