若い子には"地旅"をさせろ(4) 東京五輪の波を地方へ
―2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決まったが、首都圏などへさらに一極集中が懸念されている。
重要なのは「情報」
渡辺 1964年の東京オリンピックは、戦後の奇跡的な成長を世界に知らしめる機会でした。2020年は観光がその位置づけになります。昨年、訪日外客が1千万人を超えましたが、国は20年には2千万人を目指すとしています。地方にとってもチャンスです。
だから、全国各地でオリンピック・パラリンピックを地域活性化の手段として位置づけ、様々な取り組みが始まっています。
うちの知事(蒲島郁夫氏)がつねづね言っていることですが、熊本は九州の真ん中で九州に来たお客様は必ず熊本に立ち寄られる。それを熊本で独り占めするのではなく、熊本はセッター役で宮崎や鹿児島など他県でスパイクを打つ。そういう視点で九州は一つで売り込んでいます。
その中で重要なのは情報です。観光標識を2カ国語以上で作成したり、WiFiスポットを増やすことに取り組んでいます。
また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてキャンプ誘致にも取り組んでいます。19年には熊本で女子ハンドボールの世界選手権が開かれ、19年のラグビーのW杯でも試合会場として手を挙げています。オリンピックまでに、スポーツイベントに取り組みながら九州、熊本の認知度を高めていくことを進めています。
宮内 オリンピックにより、国際化がさらに進展する。重要なのは、その効果を地域に広げることです。地域へどのように情報を伝えていくかは観光産業の大きな課題です。
そこで注目されるのが、若い人たちの情報交換です。学生たちは海外研修などで、現地の若者とすぐに仲良くなりメールのやり取りを始めます。若い人たちの情報のやり取りをサポートできる形があれば、情報を地域レベルまでに広げることができるのではないか。我々が思っている以上に若い人たちは情報に対して積極的です。そうすると、また違った旅行の形態が出てくるのではないでしょうか。
池田 オリンピックで東京などへ一極集中になるというのは、あまり心配していません。なぜならば、地域ごとに特色ある商品造成をし、我々が海外の旅行会社とタイアップするということが可能だからです。海外の同業者とコミュニケーションをとり、ただ送るだけではなく呼んでくる。それが我々の責任です。
来年は日韓国交正常化50周年です。我々民間として韓国の人たちと交流し、来年2月にはANTA会員で2千人を送客します。そして韓国の旅行業界と交流し、一方通行ではなく双方向に送客する事業につなげなければなりません。
→若い子には"地旅"をさせろ(5) 地方をけん引する地旅の役割に続く