比叡山と港-地域発信で飛躍図る滋賀おごと温泉(1) 地元観光関係者で座談会
「比叡山に一番近い温泉地」「港のある温泉地」と「ハブ温泉地」としてアピールしている滋賀県おごと温泉。各旅館の魅力だけでなく地域の情報発信を行っているなか今年、地元大津市の延暦寺、三井寺、西教寺という天台宗の総本山が「日本天台三総本山」を表明。おごと温泉もその三総本山のお膝元であることを意識した取り組みを始めた。琵琶湖の「お散歩クルーズ」を運航する琵琶湖汽船も含め関係者にお集まりいただき、話を聞いた。
地域密着型の温泉地に 日帰り客が増加傾向
<出席者>
おごと温泉観光協会
会長 金子博美さん
副会長 佐藤祐子さん
専務理事 金子憲之さん
理事 榎高雄さん
理事 池見喜博さん
比叡山延暦寺 副執行参拝部長 中山玄童さん
琵琶湖汽船 社長 川戸良幸さん
―2008年、「おごと温泉駅」の誕生で皆さんにお集まりいただき、さらに元気を目指すおごと温泉について語っていただいた。あれから6年、おごと温泉がどのように変わってきたかを改めてお尋ねしたい。
金子博 今3つのアピールポイントを掲げています。「比叡山に一番近い温泉地」「港のある温泉地」、そして「ハブ温泉地」。ハブ温泉地とは、世界を含めて様々なところからいろんな目的で訪れていただき、またどこかへ向かわれる要となる温泉地です。交通の便もいいですし、地理的にも環境的にもいいと自負し好評をいただいていると思っています。
入り込み人員は、本願寺の団体参拝が多かった2011年の49万人が一番多かったです。この年は大河ドラマ「江」もありました。それ以外の年は鳥インフルエンザなどで出足が鈍ることもあったのですが、全体的な流れとしては右肩上がりで推移しています。最近は日帰りのお客様がかなり増えてきました。お昼のお食事や夜の宴会だけのお客様です。
また、大きな流れとして学生団体も増えてきました。これまでは、修学旅行で京都市内に泊まりきれずに近くで空いていれば構わないという感じの利用があったのですが、最近は初めからおごと温泉で宿泊場所を探す流れが出てきました。
―宿泊客、日帰り客の具体的な数字は?
金子憲 去年で言うと宿泊40万8千人、日帰り13万8千人です。01年で日帰りが8万4千人でしたから毎年1万人ずつ増えています。
―日帰り客が増えた要因は。
佐藤 各旅館がインターネットなどで日帰りプランを出しているのがマーケットに合っているのではないでしょうか。京都に寄ってからの利用が目立つので京都人気が影響していることもありますし、近場の団体客も増加傾向にあります。
―修学旅行だけでは何人ぐらいですか。
榎 滋賀県全県で6万5千人、そのうちの半分、3万人ぐらいだと思います。昔は、修学旅行を受ける宿も少なかったですし、風俗街の印象が強かったですから。
池見 逆に今は、先生方が京都よりいいと言います。
金子博 おごと温泉は管理がしやすい一面もあるようです。
池見 大きいお風呂があって広間もあり、いろいろなスケジュールが立てやすいそうです。
―以前の座談会では、京阪神や名古屋などシビアな目を持った客をターゲットにしているからハード、ソフトとも満足度を高くしないと来てもらえないと発言していましたね。
池見 今おごとの口コミは4.5とか平均点が高いんです。地域でがんばって営業している結果が反映されているのではないでしょうか。大都市圏を控えているというのが僕らの強み。季節やイベントに関係なく来ていただける。
金子憲 単価も上がってきています。特にここ1、2年は高いプランも売れてきています。
―以前、針谷了さん(元おごと温泉観光協会長、現日本旅館協会会長)にお聞きしたんですが、宿泊者の割合は滋賀県が15%で一番多く京都、大阪、愛知の順だそうですが。
金子博 旅館によってばらつきはありますが大阪が多いですね。
榎 東京が最近増えてきました。
金子博 滋賀県の方も温泉があったと気づいてくれて、気楽に来ていただいています。
池見 敷居が低くなってきたのか、地域と密着してきたのか。本来の旅館のあるべき姿ですね。
金子博 地元の自治会に年3回、湯めぐりがしてもらえるように無料券を配っています。次は泊まりに行こうという感じになってきました。
榎 最近地元の方の結婚式や結納、法事など慶事、冠婚葬祭が増えてきました。
→比叡山と港-地域発信で飛躍図る滋賀おごと温泉(2) 旅館より地域を売るに続く
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