比叡山と港-地域発信で飛躍図る滋賀おごと温泉(3) 天台三総本山と一緒に
―その中で、日本天台三総本山を打ち出されたのは意義深いですね。
金子博 もともとは、西教寺の紅葉がJR西日本の「おでかけネット」でクローズアップされたことです。滋賀県内では湖東三山や湖南三山などが東京でも有名になってきたのに、大本の総本山をもっと知ってもらわなくてはいけないと、分かりやすくブランド名をつけられました。この方面に来るなら延暦寺、西教寺、三井寺の3寺に寄らないわけにはいかないというぐらいに認識していただけるように名づけられました。中国にも天台山があり世界中から多くの人が行っておられるので、日本の中でも天台宗があるということで日本を冠したそうです。キャンペーン期間中に限らず、ブランド名としてずっと使われています。その第一歩が今年です。
"忘己利他"の教え学び
佐藤 比叡山は世界遺産なんですが京都の方で登録をされています。
中山 平安遷都の時に合わせて登録されたので、滋賀県から検索してもヒットしないんです。
川戸 滋賀県唯一の世界遺産とうたってもいいわけです。
佐藤 言うたモン勝ちということで。
―三総本山を含むエリアとして売っていきたいですね。
川戸 三総本山は、比叡山という京都にとって信仰の山として長く信奉された対象で、その象徴が延暦寺です。比叡山のお山の中を巡るということが天台宗の教えを悟ることと言われています。観光と言えば失礼ですが、そういう巡ることが重要なんです。
金子博 宗教的な意味ばかりではなくて、ここを訪れることによって心の癒しになるような旅をしていただければと思っています。
中山 我々の立場からは一方的な見方しかありませんでした。皆さんの比叡山に対するイメージをこの機会に得られたわけです。心の癒しは今、音楽であったり、視覚であったり何か心のよりどころ、心の置きどころを皆さんが探しておられる。その方法が写経や、比叡山のお堂を見た安らぎであったり、山の上からの琵琶湖の景色であったりそれぞれあると思います。どんな入口からでも最終的に「ええところやったなぁ」とお帰りいただくことが次につながる。口から口へと伝わっていく。そのことに比叡山も何か協力できればと思います。
池見 今まで僕らはおごと温泉に特化していかなアカンと思ってやってきました。その中で、着地型ということで考えた時に一番分かりやすいのは比叡山、琵琶湖汽船の船です。こじつけではなく、自然とおごと温泉の着地型観光として、比叡山や琵琶湖汽船とやっていけばいいものができるのだと思います。
金子憲 このエリアを売るためにうまく連携していける基盤ができ、順調にお客様にもそれが伝わってきたと思います。こちらから情報を入手してお客様に伝えていくという努力をもっとしていきたいですね。
佐藤 針谷会長の湯元舘の社訓で「忘己利他(もうこりた)」という最澄様の教えがあるのですが、まさしくそうなんだろうな、と。今までは己のためにという部分で、それぞれに目的と手段がバラバラでした。でも、それが他を利するということが自分たちにもつながってくるんです。お山があってこそ、この地に生まれお商売させていただいている定めであることを何となく皆が年を重ねて認識できてきたように思います。皆がお山を向き、琵琶湖の恵みに感謝しているということが、一つのブランディングになるのだろうと思います。
中山 私が言わなアカンことですね。その意味がちゃんと伝わっているのをうれしく感じます。
榎 そういうことをお客様に直接伝える人の存在がこれから大切になってくると思います。
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