価値創造の場づくり-岡武公士さん(ベストリザーブ会長兼CEO)(2)
―ベストリザーブの課題をどんなふうに感じていますか。
楽天トラベルとじゃらんがいますから、急に伸びるわけはありません。小さい会社だからこそ、まだ影響されずに伸びられる余地がある。現在14施設で行っている客室買取などを広げ伸ばしていきたいですね。
手数料は「上げない」 まずは品揃え充実
今1万弱の施設と契約していますが、まずは商品をそろえることが大切です。17年間この世界にいるので「岡武が言うんだったら仕方ないな」ということで協力してくれるところはあるでしょう。ただ、予約が入らないと続けてくれるものではないので、勝負は1、2年だと思っています。新しい施設を3万まで増やし「あそこに行けば何でもある」という品ぞろえをしたい。
―大きくなったら手数料率を上げたりしませんか。
価値あるものを創造することで払っていただけるものが手数料です。旅行って引き出しが多く、そこにいろんな価値をつけるのはまだまだできると思っています。それをせずに値上げに走るというのは、すごく嫌い。ベストリザーブは5%でいきます。
―5%が大きくなるように価値づけをしようということですね。
そうです。思いっきりします。一つは「添乗員の予約」。昔から旅行会社でコストカットする時は、カウンターのスタッフや添乗員が契約社員になっていくというものです。実はそこがインターネットに取って代わっている。インターネットの情報があるから添乗員がいらないということになっていますが、そこにこそ価値を持たせたい。
例えばゴルフ場は、セルフで安く行きますよね。今はスマホにコース案内が出てくるし、カートに乗って全部自分でできてしまう。だけどゴルフ場には必ずプロの卵が2、3人いて、そのレッスン付きだと2万円でも余分に支払う人がいます。それが価値です。そこで手数料をもらうから商売になるわけです。
安易にやるとダメなんで、美術に造詣が深い人や会話が楽しい人とか、ちゃんとデータベースをそろえて、お客さんが希望する添乗員をあてがうようなことをしていきたいと思っています。
旅行会社はよくラウンジを作ります。例えば、飛行機を降りた瞬間にグアムの携帯電話を渡して、困った時やオプショナルツアーを予約する時は全部電話してください、と。そしてバウチャーをホテルに届けるという仕組みです。家族で行って、わざわざ「ちょっと予約してくる」みたいなことがないように、ホテル客室にいながらオプションを選んでもらう。
これまでは店舗を構えて、わざわざお客さんを来させることが目的でした。お客さんが来たら、あれこれ勧めて高くしていく。だけど、それは提供側の論理です。
お客さんの立場に立つことが付加価値になる。インバウンドでも何でも、やっぱり地元の人や精通している人に案内してもらわないとダメなんです。
→価値創造の場づくり-岡武公士さん(ベストリザーブ会長兼CEO)(3)に続く