トップ就任で見据える今と未来 新滝英樹さん(ホテルゆのくに社長)(1)
今年4月、石川県山代温泉・ゆのくに天祥を運営するホテルゆのくにの代表取締役社長に新滝英樹さんが就任した。前社長の急逝に伴う登板だった。それから3カ月、社長としての現在の心境、来春開業する北陸新幹線への対応など今後の取り組み、抱負について聞いた。
選択と集中でサービス向上
―社長就任の感想をお聞かせください。
専務の時から任せてもらえていたので、業務執行についての変化はありません。しかし、グループ全体の将来展望や方向性、マーケットの動向などを見据えた運営を行っていく必要性が高まりました。変化の激しい時代ですから、グループ全体の動きを加速させていく役割が求められていると思っています。
前社長(故・新滝徳次さん)が急逝でしたので、私を含めてスタッフ一人ひとりが今まで以上におのおのの役割を考える自覚が出たと思います。代表取締役社長の急逝は会社存続をも決め兼ねない出来事ですが、なんとか無事に、大きなトラブルもなく続いています。
前社長はチャレンジャーでした。新しいことをやることに貪欲でした。拡大することに思い入れがあり、事業規模を拡大させていくことにこだわりがありました。昨年開業25周年を迎えた「ゆのくにの森」は地元の伝統工芸をテーマにした施設で、その功績は大きいと思っています。
タイプとして私はまったく違います。しかし、空白や停滞のないよう、いろんなチャレンジをしていきたい。そしてスタッフにとって働きやすい環境をつくりあげ、ぜひついてきてもらいたいと思っています。
―力を入れて取り組もうとしていることは何ですか。
これからのマーケットを考えると、オペレーションの見直しが必要だと思っています。これまで我々がこだわってきたサービスや運営方法というのは、必ずしもお客様に評価されているわけではないと認識しています。しいて言えば、お客様が求めているサービスとのミスマッチがあるようにも感じているんです。
そのため、お客様アンケートや口コミを分析し、評価されているものとそうでないものを分類します。評価されないものを評価につながるサービスに置き換えるという選択と集中を行います。
今、社員は200人ほどいます。個性やスタッフの特徴を重んじた運営から、仕組みとシステムを重んじてお客様をおもてなしするというスタイルにしていく。経験者やベテランに頼りきらないシステムづくりが必要です。
温泉旅館の場合、運営面が複雑化しやすいので、スタッフ同士が各部門の支援ができるよう分かりやすい体制にしておく必要があります。効率化、システム化を進め、ばらつきのないサービスを提供できるようにしていきます。
→トップ就任で見据える今と未来 新滝英樹さん(ホテルゆのくに社長)(2)に続く