観光庁が「着地型旅行の現状」を調査(1) 市場規模小さく"発展途上"
観光庁はこのほど、着地型旅行の現状に関する調査報告をまとめた。着地型旅行の単価は1万2800円、最近1年間ののべ参加人数は259万人と推定。市場規模は331億円とするが、国内旅行市場規模23兆9千億円の0.15%にとどまり、「発展途上」を裏付ける結果となった。
着地型旅行に関する本格的な調査は初めて。着地型旅行の市場規模や動向、商品造成の手法などの実態を把握し、成功例や失敗例を整理しようと昨年9月に実施した。ANTAやJATA加盟の旅行会社や観光協会、自治体など旅行運営者に加え、一般消費者にもアンケートを行った。有効サンプル数は運営者が815、消費者が1400。
市場概要・動向
調査では着地型旅行(ニューツーリズム)を「産業観光」「グリーン・ツーリズム」「エコツーリズム」「ヘルスツーリズム」「文化観光」「それ以外」の6分野に分類。もっとも市場の大きな分野は産業観光で32.1%。教育旅行や企業が独自に実施する工場見学を省いていることから考えるとまずまずの結果といえそうだ。以下、エコツーリズム、文化観光と続き、ヘルスツーリズム12.1%が最低だった。
5500ある運営事業者1社当たりの売上高は年間約600万円にとどまる。5年前から参入している事業者の売上高推移は、約15%が年率5%以上売上を伸ばすなど半数以上が横ばいか増加を示しているが、自治体を中心に約30%が売上高を把握していないと答えるなど、事業として確立したとは言い難い事業者の現状も見えてくる。
平均商品単価は5千―1万円未満が約20%でトップ。旅行会社は高いが観光協会や自治体は低く、差は8千円にもなる。価格感が定着していないという"ブレ"も着地型普及に少なからず影響を与えていそうだ。
→観光庁が「着地型旅行の現状」を調査(2) ポテンシャル高く将来有望視(2)に続く