観光庁が「着地型旅行の現状」を調査(3) 事業者の課題と歩むべきステージ
事業者はやはり認知度向上を一番の問題点として認識。これを踏まえ、調査報告では「興味がない」消費者に対しては商品の魅力向上、「参加しない」には正確な情報の提供で好転する可能性があると指摘している。
事業者が抱える課題
売上を伸ばす事業者と伸び悩む事業者の違いにも言及。「着地型への考えの乖離」を要因に挙げ、「地元・消費者への理解」「担当者が企画を楽しんでいる」が売上を伸ばす事業者の共通項として見出した。その上で、成功要因に「地元の魅力を生かす」「マーケティングの促進」「ガイドなど地元人材の育成」などへの意識を変えることで売上高の縮小を抑えることになるはずだと論じている。そのほか、販売施策面では消費者の把握や他地域との差別化などもキーワードに挙げている。
発展に向けて
では、着地型旅行における売上高向上にはどういった段階を踏めばいいのか。調査結果から売上高を伸ばしている事業者は(1)地域活性化のための着地型旅行の開始(2)地元の理解を得る(3)誘客活動(4)地元の協業(5)狙い通りの客層を獲得し継続的な運営―という共通のステージを経ており、売上が伸びない事業者は(1)と(2)を飛ばすために方針やターゲットもあいまいになり、低迷するのではと指摘している。要は「地域経済の発展への貢献」が重要な指針となるべきであり、その上で着実に各段階を踏むことが求められるようだ。ただ、成功している事業者も特定の推進者のけん引力に頼っている現状であり、ノウハウを継承し継続的に展開できる組織構築が課題であるとも指摘した。
また、これら調査結果を踏まえ、課題を抽出し、解決方法も提示。品質向上に向けたPDCAサイクルをまわすことを前提に、「運営責任者」と「基本的な財務指標の把握」をという前段階の課題を解決した後に着地型旅行を実施することが効果的であると提言している。
調査結果では、最後に成功事例を紹介。「本業型」として信州いいやま観光局(長野県飯山市)、「副業型」として春茂登旅館(栃木県日光市)、「組込型」としてNPO法人エコ・リンク・アソシエーション(鹿児島県南さつま市)などを取り上げている。