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全員「一歩前へ」の旅館

08/01/01

F県A温泉にあるM旅館で、この1、2年、旅行会社の会合が続いた。いつも宴席で自然に旅行会社の人たち数人とM旅館の話になった。どの人も「客を送ってクレームが出たことがなく、安心できる」と絶賛する。特別にここが素晴らしい、というものはないが、旅行会社にとってクレームがない施設ほど力強いものはない、という。野球の試合でミスが少ないチームが強いのと似ている。

M旅館の社長に直接、旅行会社の声をぶつけてみると「社員の一生懸命さがお客様や旅行会社の人たちに伝わっているからではないでしょうか」という返事が返ってきた。「2人でお越しになった個人のお客様と、100人の団体のお客様どちらにも同じサービスを提供できるようにしています」とも。

そのために毎月、接客から洗い場、風呂番、廊下掃除、ふとん敷きに至るまで各セクションの担当者40人が集まり、どうすればお客に快適に過ごしてもらえるかを話し合う。何か問題があれば原因を徹底的に究明し、改善するのだそうだ。

「高品質の大旅館なら当然やっていることでしょうが、施設が整っている割には割安感がある我々のようなところでは、クレームを出さないという社員の誇りが一番です」と話すが、モチベーションを維持し続けるため社長や専務、支配人といった幹部自らが最前線に立つ。

客を送って安心してもらえる旅館づくりがモットー。接客もお客の姿が見えると自らが出迎えに走る「攻めのお迎え」を実施するなど、全社員が「一歩前へ」のスタンスで臨む。この1年、「一歩前へ」の姿勢で進みたい。

(トラベルニュースat 08年1月1日号)

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